おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
ROSSIN/La Gazzetta




Cinzia Forte(Sop), Charles Workman(Ten)
Bruno Praticò, Pietro Spagnoli(Bar)
Maurizio Barbacini/
Intermezzo Choir
Orchestra Academy of the Gran Teatre del Liceu
OPUS ARTE/OA 0953 D(DVD)



バルセロナのリセウ大劇場で2005年7月に行われた公演のライブ、1年も経たないのにDVDになりました。ロッシーニの「ラ・ガゼッタ(新聞)」という非常に珍しいオペラ、もちろん、これが世界初のDVDです。年頃の娘を持つ商人ドン・ポンポーニオが、娘リゼッタの結婚相手を求める新聞広告(ガセネタ!)を出したのがそもそもの始まりとなるドタバタ喜劇、結局リゼッタは以前から恋仲だった宿屋の主人アルベルトとめでたく結ばれるというお話です。
リゼッタ役のチンツィア・フォルテについては、以前からマニアの間では密かに話題になっていたということです。実は、つい先日「カターニャ・ベッリーニ大劇場」というちょっとマイナーなオペラハウスの来日公演があったのですが、その「夢遊病の娘」という演目で主役を歌うために彼女も来日していたのです。しかし、この役はステファニア・ボンファデッリとのダブルキャスト、「ボンさま」が出演する東京公演はS席が29,000円だというのに、彼女の唯一の出番、横浜公演は23,000円という扱いでした。実際には、フォルテの方がずっと良かったという話も聞こえてきて、オペラの良さは歌手のランクや、それに伴う入場料の高さでは決して判断できないものだということが、改めて分かります。
指揮者のバルバチーニがピットに登場して、オペラが始まります。と、この曲は今まで聴いたことはなかったはずなのに、聞こえてきた序曲にはなにか馴染みのあるものが。そう、これは有名な「ラ・チェネレントラ(シンデレラ)」の序曲と全く同じものではありませんか。もちろんこれはロッシーニの常套手段、半年後に上演されることになる「チェネレントラ」に、この序曲を使い回ししたのです。
演出のダリオ・フォーは、舞台装置と衣装も担当しています。ジャケットでも少し窺えるように、そこで描かれた世界には、アール・デコのような世紀末の雰囲気が漂っています。このフォルテの脚線美(死語?)をご覧ください。彼女は惜しげもなくその足を高々と挙げて、居並ぶ紳士(死語?)を悩殺(死語?)してくれるのです。後半、トルコ人に変装という設定で現れる時には、おへそもあらわなビキニ姿、贅肉など殆どない悩ましい腰のくびれを十分に堪能させてくれますよ。今の時代、容姿も、そしてスタイルも良くなければ、オペラ歌手としては通用しなくなっていることが、よく分かります。というより、これはもはやショービジネスと同じ土俵に立って闘っているのだな、という印象すら受けてしまいます。この演出では、多くのダンサーが出演して、華やかな場面を描き出しているのですが、歌手たちもそのダンサーと一緒になって、踊りながら歌わなければならない場面というのが数多く用意されているのです。こうなると、ほとんど「ミュージカル」の世界です。芝居が出来るだけではダメ、きっちり踊れて歌える人でなければステージはつとまらないというミュージカルで求められる資質が、オペラに於いても要求されるようになっているのです。
もちろん、これは男声にも当てはまることです。第2幕の決闘の場面でのプラティコ、スパニョーリ、ワークマンの男3人のやりとりの中では、爆弾をジャグリングしながら歌わなければならないというところがあります。ロッシーニならではの早口言葉の歌を歌うだけでも大変なのに、まるで大道芸人のようなジャグリング、聴いている方もスリル満点です。
フォルテは、見た目だけではなく、歌も評判通りのものでした。周りを威圧するというのではなく、精度の高いコロラトゥーラでチャーミングに迫る、といった魅力に溢れています。これには「紳士」ならずとも虜になることでしょう。他の歌手も大健闘でした。ただ、リセウのオーケストラにもう少し軽やかさがあれば、もっと素敵なロッシーニになっていたことでしょう。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2006-07-08 20:02 | オペラ | Comments(0)