おやぢの部屋2
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Dramatic Amadeus
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 チェコのブルノにあるオペラハウスが、面白い演目で今全国を回っています。というか、その初日がここ仙台で行われるという、ちょっと異例のスケジュール、その「本邦初演」(実は、行ってプログラムを見るまで知りませんでしたが)に立ち会えるという、ラッキーな体験をしてきました。それはタイトルも「アマデウス」、もちろんこれは例のピーター・シェーファーの戯曲、そしてそれに基づく映画の題名と同じものです。このストーリーの元ネタとなったリムスキー・コルサコフの1幕もののオペラ「モーツァルトとサリエリ」を中心にして、その前後に「天才少年」が弾くピアノコンチェルトと、レクイエムを演奏するのだ、という風に聴いていました。
 会場の県民会館、開演時間になっても恐ろしくお客さんが少ないのはどうしたことでしょう。この間同じ会場で「魔笛」を聴いた時には満員だったというのに。実際、三分の一も入っていたか、という寂しい有り様、安い席はかなり入っているのに、高い席がガラガラ、一ブロックまるまる空席などというところもありましたよ。
 最初のステージはコンチェルトだというのに、緞帳が下りたまま、オケはピットに入っています。緞帳が上がると、次のオペラのためのセットの間にスタインウェイが置いてあって、予想通り、カツラを着けた「神童」くんの登場です。つまり、オケはピット、ピアノはステージ上という世にも不思議なコンチェルトが始まりました。まあ、これはご愛敬。
 「モーツァルトとサリエリ」を、まさか地元で生で見ることが出来る日が来るなんて、思っても見ませんでした。これも「モーツァルト祭」のお陰ですね。オケの編成は木管が1本ずつの「1管」編成、そこから出てきた音楽も、ちょっとリムスキー・コルサコフとは思えないような「ロココ風」のものだったのも意外でした。なんせCDですら聴いたことがなかったものですから、全てが好奇心の対象です。オペラの作りとしては、アリアのような目立って歌い上げるところのない、終始レシタティーヴォが続くというものです。最初はサリエリのモノローグで始まるのですが、えらく暗い印象です。そこにモーツァルトが入場してくると、途端に音楽がまさに「モーツァルト風」に変わります。その時点で、このオペラはことさらモーツァルトの作風を装ったものであることが分かります。実際にモーツァルトの曲が引用されている部分もありますし、「今できたばかり」といって披露する曲なども、いかにもモーツァルトが作ったように聞こえる凝ったものです。演出も、「死に神」などを登場させて、かなり見応えのあるものでした。正直、作品としての魅力はほとんど感じられませんが、パロディとしての突っ込みどころが満載で、そういう意味では大いに楽しむことが出来ました。
 そして、「レクイエム」です。オペラはもう終わったのだから、オケはステージに登るのかと思っていたら、相変わらずピットの中、緞帳も下りたままです。導入のオケが始まって緞帳が上がると、新たなセットが組まれていました。合唱が両脇にいて、その間に人が並んで出てきました。どうやらこれはダンサーのよう、そう、これは「バレエ版」レクイエムだったのですよ。以前「ハ短調ミサ」のバレエ版というのも見たことがありますが、あれはかなり抽象化された踊りだったものが、これはしっかりストーリーが入っています。さっきの「死に神」がメインのダンサー、それにモーツァルトが2人!おそらく、ドッペルゲンガーなのでしょう。まあ、気持ちは分かります。さっきのオペラと連動させて、「悲劇」を完遂させようというのでしょう。しかし、このダンスははっきり言って邪魔、それよりも、さっきのコンチェルトもそうでしたが、ステージ上とピットがまるで合わないものですから、ストレスが募るばかりです。そういえば、この曲、CDでは誰よりも熱心に聴いていますが、ライブで聴くのはこれがほとんど初めて、せめて初体験ぐらい、クラリネットではなくバセットホルンで聴いてみたかったものです。
 こんなマニアックなオペラとバレエ、決して県民会館が満席になるようなものではありません。ここに足を運ばなかった仙台市民の判断は、的を射ていたことになりますね。「コーラスライン」もきれいに売り切れましたし。
ヒレカツバージョン
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by jurassic_oyaji | 2006-07-14 23:04 | 禁断 | Comments(0)