おやぢの部屋2
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Spirituals


George London(Bas)
Carl Michalski/
Singgemeinschaft Rudolf Lamy
Members of the Orchestra of the Bavarian State Radio
DG/00289 477 6193



今、ジョージ・ロンドンがブームなのでしょうか。つい先日SONYから「ボリス」のハイライト盤が復刻されたばかりだというのに、今回は、なんと完全初出(なんかいやらしいイメージを持つのは、私だけ?
それは「完全丸出し」・・・あ~あ、ほんとのおやぢになっちゃった)の「黒人霊歌集」ですからね。DGの「スポットライト」という、歌手のリサイタル盤を復刻したデジパックのシリーズ、本体はあの「オリジナルズ」と同じ、チューリップレーベルが印刷されています。しかし、そこにはもはや「CDロゴ」が見当たらないことにご注目。結構、最近のものにはこれがないようになっていますよ。
このロンドンの場合は、元々のLPすら一度も世に出ていない(「完全初出」とはそういうことです)というのですから、1963年に録音されたものが、43年も経って初めてリリースされたことになります。それにしては、ジャケットがいやにリアリティがあるのが気になります。裏を見ると、曲目に「SIDE A」とか「SIDE B」といった表記もありますから、おそらく実際にプレスする直前まで話は進んでいたのでは。なにしろ、DG(いや、DGG)盤には付き物の「黄色い」枠の中には、ちゃんとLPの品番まで入っていますからね。この「SLPEM 136 458」というのは、確かに当時使われていた品番です。もちろん、いかにもそれらしい品番をでっち上げて、文字だけを差し替えたのでは、という疑問がわくのも当然のことかもしれません。しかし、丹念に検証してみると、このジャケットで使われているフォントは現在は使われてはいないものであることが分かります。

上がジャケットの文字、下が「今」印刷された非常によく似たフォントの文字なのですが、例えば大文字の「O」とか小文字の「v」などは、完全に別物なのが分かるはずです。つまり、このジャケットは文字も含めて当時実際に印刷されたもの、あるいはその版下を忠実に復刻したものなのでしょう。そこまで準備されていたものが商品として流通しなかったわけは、今となっては知るよしもありません。あ、左下の赤いシールは、「今」貼り付けられたものです。念のため。
ジョージ・ロンドンの声には、最初から「悲しみ」が宿っているように聞こえます。彼がヴォータンやボリスであれほどの評価を得たのには、その特異な声のキャラクターが大きく作用していたに違いありません。ひょっとしたら、彼はこんな歌を歌うために生まれてきたのではないかと思えるほど、彼が歌うスピリチュアルズにはそんな「悲しみ」を通じて魂のほとばしりのようなものを感じずにはいられません。「時には母のない子のように」などが、それが顕著に現れた名演ではないでしょうか。一見サラッと歌っているかに見えて、そこからは深い情感がとめどもなく放たれているさまを感じ取ることが出来るはずです。バックにコーラスが入っているものが大部分ですが、それはこのロンドンの情感を的確に受け止めた優れた演奏、もしかしたら音程などに不安がなくもないソリストを、見事にバックアップしているものでした。
「ジェリコの戦い」のように、ちょっとしたリズムセクションが加わったアレンジでは、ロンドンのリズム感の良さが存分に発揮されています。そんな時、いかに軽快に歌ったとしても、そこにはしっかり「悲しみ」がついて回るという、彼ならではのセンスは決して失われることはありません。
ただ、中に3曲ばかり、アレンジャーのルドルフ・ラミーが、ストリングスを加えて本気になって甘ったるい編曲を施しているものがあります。これが、およそロンドンの歌とはかけ離れた白々しい出来なのです。「商品」としての体裁を整えるために、豪華に飾り付けたものを提供したと言うことなのかもしれませんが、ひょっとしたら、このトラックのために全体のコンセプトがはっきりしないものになったのが、「お蔵入り」の原因だったのではないか、などと勘ぐりたくなるような、それは「勘違い」のアレンジになっています。
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by jurassic_oyaji | 2006-08-03 19:22 | 歌曲 | Comments(0)