おやぢの部屋2
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I Let the Music Speak

Anne Sofie von Otter(MS)
Benny Andersson, Anders Eljas(Pf/Arr)
Georg Wadenius(Guit/Arr)
DG/00289 477 5901
(輸入盤)
ユニバーサル・ミュージック
/UCCG-1326(国内盤 8月23日発売予定)


1970年代に一世を風靡した「ABBA」というスウェーデンのグループは、ベニー・アンデショーンとビョルン・ウルヴァースという2人のソングライティング・チームに、アグネタ・フォルツコグとフリーダ(アンニ・フリード)・リングスタッドという美人のツイン・ボーカルが合体して出来たユニットです。その上、ビョルンとアグネタ、ベニーとフリーダは(組み合わせ、違ったかも)共に夫婦として「合体」を繰り返していたという、念の入れ方です。もっとも、後にはどちらも破局を迎えますが。
今回のオッターのニューアルバムは、そのABBAと同じ国に生まれた彼女が、昔から好きだった彼らの曲を歌ったものだと聞いていました。ABBAと言えばディスコビートに、フィル・スペクターのような華麗なアレンジを施した煌めくようなサウンドが売り物、そんなノリノリのナンバーが、オッターによって取り上げられるとどうなるのか、といった興味半分のところが、聴く前にはかなりあったことは事実でした。
ところが、現物を手にしてラインナップを見てみると、最大のヒット曲「Dancing Queen」や、最近マドンナによってサンプリングされた「Gimme! Gimme! Gimme!」のような突出した有名曲はおろか、彼らのヒットナンバーを集めて構成されたミュージカル「Mamma Mia!」の中で使われた曲すらも全くその中にはありませんでした。もちろん、ABBAとしてのレパートリーとしては、「The Day Before You Came」や「The Winner Takes It All」といったちょっとマイナーな曲は含まれていますが、これはABBAと言われてすぐ連想されるようなダンサブルなものではなく、限りなくバラードに近い曲でした。そして、かなりの曲は「ABBA以後」の作品であることが、注目されます。つまり、これはABBAではなく、1982年にそのグループが解散した後も、変わらずチームを組んで活躍しているベニー/ビョルンの作品集という捉え方の方が、正しいことになりますね。いくらなんでも、オッターが歌う「Dancing Queen」は聴きたくないかも。
実は、このチームは、1986年に、あの、かつてはアンドリュー・ロイド・ウェッバーのパートナーであったティム・ライス(1997年には、エルトン・ジョンとともに「ライオン・キング」を作ります)とともに、「Chess」というミュージカルを作って、ロンドンのウェストエンドで上演しています。さらに1995年には、スウェーデンで「Kristina Från Duvemåla」という、スウェーデン語のミュージカルを上演するというように、先ほどの「Mamma Mia!」とは別な意味でのショービズ界での活躍をしているのです。そこでは、もはやABBA時代のようなビートに乗ったものではなく、もっとしっとりとした「大人の」音楽が作られるようになっているのでしょう。
まるで、アグネタとフリーダのいいところだけを足して2で割ったような風貌を持っているにもかかわらず、ここでオッターが歌っているのは、そんなしっとりとした面を持つ曲たちでした。ちょっと目にはクラシックの歌手とは思えないほどナチュラルな歌い方で彼女が聴かせてくれたのは、スウェーデンの有能な作家チームによる心に染みるバラードだったのです。
中でも、とても心地よく聴けたのが、「Kristina」からのナンバー「Ljusa Kvällar om Varen」、もちろん彼女の母国語のスウェーデン語で歌われていますから、そのとろけるような肌触りがたまりません。そして、バックのミュージシャンもこのジャジーなたたずまいを思い切り楽しんでいるようです。アレンジも担当しているギタリスト、ゲオルク・ワデニウスが、ギターを弾きながらスキャットで絡むあたりは最高です。この中で最も新しい曲が、2001年に作られた「Butterfly Wings」。とても自然でキャッチーなテイストは、ベニーとビョルンが到達した、一つの境地なのかもしれません。
と思っていると、全ての曲が終わったはずなのに、ジャケットにもブックレットにも一切案内の無い「トラック12」のイントロが始まりました。なんと隠しトラックが潜んでいたのですね。しかも、それはタンゴ仕立ての「Money, Money, Money」ではありませんか。最後の最後に披露してくれた「ABBAのヒット曲」には、ほんと、おったーまげてしまいました。
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by jurassic_oyaji | 2006-08-11 20:04 | ポップス | Comments(0)