おやぢの部屋2
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DURUFLÉ/Requiem


Kaaren Erickson(Sop)
Nancianne Parrella(Org)
Kent Tritle/
Choir of St. Ignatius Loyola
MSR/MS 1141



他のものを注文しようと思って海外の通販サイトを検索していたら、偶然発見したデュリュフレのレクイエムです。これはまだ持っていなかったアイテム、さっそく入手しました。録音されたのは1994年の4月ですが、リリースは2005年、まだまだ新譜で通ります。1年ぐらいはもちますから(それは「新婦」)。どんな事情でこんなに長い間リリースされなかったのかは不明ですが、その間にソプラノのソリストが亡くなってしまったそうですね。ですから、このCDにはその人、カーレン・エリクソンに対する献辞が添えられています。
ここで演奏しているのは、聖イグナチウス・ロヨラという、あのイエズス会の創始者の名前を取ったニューヨークにある教会に所属している、20人ほどのプロの聖歌隊です。この教会には1993年に設置されたフランス風の大オルガンがあり、ここでもそれが使われています。従って、当然のことながら、このレクイエムはオルガン伴奏による第2稿です。
オルガン版による演奏では、そのオルガンはあまり目立たないものですが、ここではそれが非常に印象的に聞こえてきます。フランスオルガン独特のリード管やビブラートのかかるストップなどが駆使され、ちょっと他では聴けないような色彩的な音色、それは魅力的なものがあります。ここでオルガンを演奏しているこの教会のオルガニスト、パレラのストップの使い分けが独特で、今までのオルガン版では聴いたことのなかったようなフレーズがあちこちで現れるのが、とても新鮮な体験でした。このぐらいていねいにレジスタリングがなされると、ひょっとするとフル・オーケストラ版に負けないぐらいの迫力と色彩感が出せているのではないでしょうか。ここで足らないのはティンパニやパーカッションなどの「一発」だけです。
そんな立派なオルガンに支えられて、合唱もその人数からは想像できないほどの立派なものを聴かせてくれています。それぞれがソリストとして各方面で活躍している人がメンバーだということですが、それは確かに良く分かります。ただ、パートによってその立派さの程度が少しずつ異なっているのが、ちょっと問題。アルトなどはとてつもない力強さを持っているにもかかわらず、ソプラノがちょっと頼りなさげ、そこで合唱としてのバランスが微妙におかしくなっています。例えば、「Sanctus」の冒頭は女声だけですが、そこでのアルトのパートがあまりにも強すぎるので、肝心のソプラノのメロディーが霞んでしまっています。そんなソプラノですから、逆に「In Paradisum」の前半のパートソロでは、この世のものとも思えないような清楚な味を出すことに成功しています。この部分だけでしたら、かなり上位にランクできる演奏に違いありません。ところが、後半の全パートの合唱になると、それぞれのパートの個性が強すぎて、一つにまとまった響きが出てこないというのが、この合唱団の一番いけないところ、この絶妙のハーモニーが出せないことには、「名演」にはなり得ません。この、トゥッティでハモらないという欠点が、この曲の随所で見られます。それがちょっと残念。
ソプラノソロは、先ほどのエリクソンさんが強烈なビブラートで迫ります。これも、やはりもう少し節度のある歌い方の方が、私は好きです。バリトンソロの部分は、ソリストではなくパート全員で歌っています。これはこの合唱団ですから、ソリスティックな味がでて、おおむね成功しているのではないでしょうか。特に「Libera me」での迫真の表現には惹かれるものがあります。
余白に、オルガニストでもある指揮者のトリトルが演奏した同じ作曲家の「オルガンのための組曲」が収められています。これも、オルガンの音色を最大限に生かした素晴らしいものです。「シチリエンヌ」のえもいわれぬ変奏の妙からは、フランクの語法が垣間見られますし、「トッカータ」の色彩感はまさにメシアンの世界でしょうか。フランスのオルガン曲のレパートリーとして、デュリュフレの曲ももっと聴かれていいな、と思わせられるような演奏でした。
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by jurassic_oyaji | 2006-12-05 23:06 | 合唱 | Comments(0)