おやぢの部屋2
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MESSIAEN/Quartet for the End of Time





Tashi
BMG
ジャパン/BVCC-37478


ピーター・ゼルキン(ピアノ)、リチャード・ストルツマン(クラリネット)、アイダ・カヴァフィアン(ヴァイオリン)、フレッド・シェリー(チェロ)という4つの楽器のアンサンブルが誕生したのは1973年のことでした。このちょっとユニークな編成、もちろんメシアンの「時の終わりのための四重奏曲」でとられている編成です。つまり、「タッシ」というのは、そもそもこの曲を演奏するために結成されたグループなのです。決してすきま風を防ぐ窓枠にちなんだわけではありあせん(それは「サッシ」)。武満徹がこの同じ編成のソリスト陣とオーケストラのための協奏曲「カトレーン」を作ったのは、もちろんこのグループの存在があったからです。後に独奏部分だけが「カトレーンII」として独立した曲にもなりましたね。
彼らはグループのメンバーだけではなく、適宜サポートメンバーも加えて、1981年までの間にRCAに8枚のアルバムを残しました。その全てのものが、今回紙ジャケット仕様の国内盤として発売になりました。初回のアメリカ盤を忠実にミニチュア化したもの(ですから、武満のアルバムのようにアメリカ盤とは異なっていた国内盤のジャケットは、ブックレットに採用されています)、その独特のセンスのジャケットたちが蘇りました。中には、これが世界初CD化、あるいは国内盤としては初リリースというアイテムも含まれており、ファンにはたまらないものになっています。
その中で、このメシアンは、すでに何度もCD化はされていました。実は、その中で1997年のもの(BVCC-7423)を持っていたのですが、オリジナルジャケットの魅力には勝てず、こちらも購入してしまいました。1997年盤には、このメシアン以外に「カトレーンII」がカップリングされていたので、それに合わせてジャケットのロゴが微妙に変わっていたのですよ。それと共に、実際に聴き比べてみると音がずいぶん変わっています。今回新たにリマスターされたものは、前回の20ビットから24ビットにスペックが上がっていますし、何よりもそんなスペック以外の要因でしょうか、今までちょっと平板な音だと思っていたものが、今回のものからは見違えるほど生々しい音が聞こえてきたのには驚かされてしまいました。例えば、5曲目の「イエズスの永遠性に対する頌歌」での、フレッド・シェリーのチェロの音などは、とても瑞々しいものに感じられます。この曲の中で、彼の楽器はファルセットのような高い音を薄く奏でていたり、ヴァイオリンとのユニゾンに甘んじていたりとちょっと目立たないものだったのが、ここにきて晴れがましいソロを与えられた喜びのようなものが、その音から伝わってくるような気がするほどです。
今回、そんな素晴らしい音で聴き直したとき、今まで彼らに対して抱いていたちょっとストイックなイメージが、見事に消え去っていたことを感じないわけにはいきませんでした。もっとも、それはストルツマンの振幅の大きいクラリネットの中にはすでに意識されていたものではあったのですが(3曲目の「鳥たちの深淵」は、いつ聴いても圧倒されます)、それが全てのメンバーに共通している資質であったことに気付いたような気がします。それは、6曲目の「7つのらっぱのための狂乱の踊り」という、最初から最後まで4つの楽器がユニゾンで演奏するという場面で明らかになります。それぞれのメンバーは、全体でひとつの楽器であるかのように寄り添ってはいますが、決して内に向かってまとまることはせず、常におのおのがそれぞれのやり方で外へ向かってのアピールを行っているのです。ユニゾンという制約を逆手にとった、とてつもないエネルギーの放出を、そこには見ることが出来ます。最後の「イエズスの不死性に対する頌歌」も、単なるヒーリング・ミュージックには終わらない、もっと艶めかしい情感をカヴァフィアンのヴァイオリンの中に感じずにはいられないはずです。
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by jurassic_oyaji | 2006-12-10 21:19 | 現代音楽 | Comments(0)