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La France et les Beatles Vol.1





V.A.
MAGIC RECORDS/3930591



最近発表された「新録音」など、何かにつけて話題には事欠かないビートルズですが、こんなフランスの60年代のアーティストによるカバーを集めたコンピレーションが、今静かなブームを呼んでいるのだそうです。これはVolume 1ですが、現在同じシリーズがVolume 3までリリースされており、なんでもVolume 5あたりまで用意されているのだとか。
ご存じの通り、ビートルズといえば「ロック・ン・ロール」、アメリカで生まれたものですから、英語で歌われることが大前提の音楽です。もちろん、イギリスでも英語が使われていますから、この国はアメリカと並ぶロック大国となっているわけですね。「ブリティッシュ・ロック」というのでしょうか。ところが、「フレンチ・ロック」とか、「イタリアン・ロック」などというものはあまり聴いたことがありません。というより、そんなフランス語やイタリア語で歌われたものはもはやロックではないような気にはなりませんか?鼻母音でくすぐるように歌われても力が抜けるだけですし、朗々たるカンタービレはちょっと世界が違います。(同じことはわが「日本語」にも言えるはず。でも「スパニッシュ・ロック」だったら、なんだか許せそう?)
ただ、ドイツに関しては、少し事情が異なっているでしょうか。ビートルズもデビュー前はハンブルクあたりで修行をしていたはずですし、なんと言っても「She Loves You」や「I Want to Hold Your Hand」が「Sie Liebt Dich」や「Komm, Gib Mir Deine Hand」というきちんとしたドイツ語バージョンとして本人達の演奏で残っているのですからね。いかにも攻撃的な語感を持つドイツ語は、やはり「ロック」には馴染むのかもしれません。
ということで、ここに収められたフランス語による21曲のビートルズ・ナンバー、基本的にその語感から、オリジナルとは全く異なるテイストを感じてしまうことになるのです。なんという軟弱な「ロック」なのでしょう。聴き慣れた曲の数々が、言葉が違っているというだけで、これだけ印象が変わってしまうとは。殆どの曲が、なまじ「完コピ」を目指しているだけに、その落差は際立ちます。さらに、言葉同様、エフェクターの使い方やフレーズの処理の仕方に、ちょっとした「フランス風」の味が加わっているために、言いようのない無国籍感が漂うのも、不思議。
ただ、本当の意味での「完コピ」がなされているエリック・サン・ローランの「Eleanor Rigby」では、ちょっと事情が異なってきます。この曲の場合、オケは弦楽器だけ(8本?)、リズム楽器やエレキ楽器は全く使われていない、殆ど「クラシック」といっても良いアレンジですから、ある意味「完コピ」は難しいことではないのでしょう。起こした譜面通りに忠実に弾きさえすれば、それは限りなくオリジナルに近づきます。そういうオケでは、フランス語による違和感は殆どありません。これは、この曲(アレンジも含めて)が本来持っていたインターナショナルな資質のあらわれということなのでしょう。最後から2番目のコードだけメージャーに変えたのも、意識してのことなのでしょう。
実は、ビートルズの曲の中には、元々フランス語の歌詞が挿入されているものがあります。それがドミニクという人がカバーしている「Michelle」です。ここでは、もちろん英語の部分がフランス語に変わっていますから、全てフランス語になった結果、アレンジのせいもあるのでしょうが完全な「フレンチ・ポップス」に変貌していました。
ですから、へたにオリジナルに迫ろうとせず、開き直って「フレンチ」を前面に出したものの方が、実りのある結果を出すことになります。その中での白眉がジャン・マリーとラウルの「Yellow Submarine」。バックでグロッケンがポツポツとメロディを弾く中で、ヴォーカルはメロディーを付けないで、淡々とまるで朗読のように歌詞を読み上げているだけなのですから、不思議な「ゆるさ」が漂います。マルセル・アモンの「When I'm Sixty Four」などは、元々の曲が持つ軽さをそのまま増幅して、いかにも小じゃれた「シャンソン」に仕上がっています。ザボの「Hey Jude」などは、例のコーラスの部分で何とも悩ましい声を出して、オトコたちの耳を引くこと間違いなしでしょう。これこそが、フランスのエクスタ・・いや「エスプリ」です。
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by jurassic_oyaji | 2006-12-14 19:50 | ポップス | Comments(2)
Commented by at.yamao at 2006-12-15 16:06 x
TB、ありがとうございます。
先日vol.1を見つけて大喜びでしたのに、こちらを拝見したら
もうvol.3まで出ているというではないですか。
また探さなくてはなりません。
しかしフランス人たちは、みんな自己流にしてしまうのが上手だし、
センスもいいですね。
ビートルズの歌を知らない人が聴いたら、
完全にフレンチポップスだと思ってしまうでしょう。
あっぱれなことです。
Commented by jurassic_oyaji at 2006-12-15 20:43
yamaoさま
コメントありがとうございました。

このシリーズのジャケットが素敵ですよね。
Vol.3は、後期のイメージでしょうか。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1217656