おやぢの部屋2
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Transcriptions 2
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Laurence Equilbey/
Accentus
NAÏVE/V 5048



最近はバロック・オペラがブームとなっていますね。そんな中で、今まで殆ど知られていなかったヴィヴァルディのオペラも人気を呼んでいます。それの火付け役となったのが、このNAÏVEというフランスのレーベルの「ヴィヴァルディ・エディション」です。とてもクラシック音楽、しかもバロックとは思えないような扇情的なジャケットの魅力とも相まって、その人気は高まるばかりです。
このように、オペラに関しては、彼の作ったものの全容はほぼ解明され、それを実際に音として楽しめるという時代になっています。そんな動きはほかのジャンル、例えば宗教曲などでも顕著なものがあります。その最大の成果は、今まで彼の作品リストには存在していなかった「レクイエム」が発見されたということではないでしょうか。そして、それをこのレーベルの看板スター、「アクサントゥス」が、世界で初めて録音してくれました。ただし、自筆稿が散逸していたということで、実際に演奏可能な状態にあったのは「Requiem」、「Benedictus」、「Lux aeterna」の3つの楽章だけだというのが、少し残念なところです。
通奏低音のビートに乗って、まるで心の中に寒風が吹きすさぶような楽想で、「Requiem」が始まります。かと思うと、続く「Benedictus」では、あたかも暖炉のまわりでくつろいでいるような穏やかなたたずまいが広がっています。しかし、最後の楽章になると、やはり氷のように冷ややかな情感に支配され、曲は終わるのです。
・・・っと、ごめんなさい! これは、前にも取り上げた「第1集」に続く、編曲もののアルバムの第2弾、最初に収録されているのがヴィヴァルディの「四季」から「冬」の全3楽章を合唱のために編曲したものだったのです。つまり、「スウィングル・シンガーズ」のように、この曲を「ダバダバ」と歌っているわけではなく、なんと「レクイエム」のテキストをこのヴァイオリン・コンチェルトに当てはめるという無謀なことをやっていたので、ちょっとからかってみただけなのですよ。
もっとも、「スウィングル」だったら、全ての音をきちんと声で再現していたことでしょうが、このとことんゆるい合唱団のためにアレンジを提供したフランク・クラフチクは、原曲の鋭角的な部分を全てそぎ落として、微妙に甘ったるい仕上がりを施しました。それでも、結構大変そうなメリスマを残してしまったものですからから、いけません。この合唱団は、とてもそんな難しいことは出来ませんから、思わず失笑を買うことになってしまいました。
こういうものにかけてはまさに「大御所」の貫禄を備えているクリトゥス・ゴットヴァルトの仕事も、前作同様たくさん含まれています。その中でヴァーグナーの「ヴェーゼンドンクの詩」からの「温室で」は、以前に別の合唱団の演奏で聴いたことがありました。その時には確実に味わえた「トリスタン」の淫靡なテイストが、ここでは全く別もののあっけらかんとしたものになってしまっていたのは、おそらくお国柄の違いのせいでしょう。フランス人のエキルベイにとっての「トリスタン」は、きっとこんな開放的なものだったに違いありません。それは、おそらくゴットヴァルトが描こうとしていた世界とは、ちょっと隔たりがあったのでは、とは誰しもが感じることです。それは、同じくゴットヴァルトの編曲によるマーラーの「2つの青い瞳」でも感じられるもどかしさです。ここからは、交響曲第1番の第3楽章の中では葬送行進曲の前触れとなるはずの不思議に澄みきった雰囲気は、どんなにがんばっても聴き取ることはできません。
「お国もの」のドビュッシーやラヴェルでは、さぞかし持ち味を発揮してくれるのだろうという期待も、虚しいものでした。「マ・メール・ロワ」のなんと重苦しいこと。一つの要因は男声のだらしなさでしょう。それは、男声だけで歌われるシューベルトの「夜と夢」を聴けば納得できるはずです。なんというアバウトな音程。口直しに羊羹を食べなければ(「夜の梅」、ですね)。
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by jurassic_oyaji | 2007-01-11 23:32 | 合唱 | Comments(0)