おやぢの部屋2
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MEDER/Passionsoratorium nach Matthäus
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Nichi Kennedy(Sop), Gerd Türk(Ten)
Christian Hilz(Bas)
Michael Alexander Willens/
Die Kölner Akademie, Orchester Damals und Heute
RAUMKLANG/RK 2506



受難曲に関する文献には良く登場し、コンサートなどでも取り上げられることもあるヨハン・ヴァレンティン・メーダーの「マタイによる受難オラトリオ」の世界初録音です。メーダーというのは、1649年と言いますから、バッハの少し前に生まれたドイツのオルガニストで作曲家、そして最初は歌手だった人です。歌手時代、各地の宮廷に雇われますが、リューベックではあのブクステフーデと知り合い、その影響はこの作品にも現れていると言われます。その後はカントールとして、様々な土地を転々とすることになるのですが、最後の任地となったリガ(現在はラトビア共和国)で1701年に作られたのが、この「マタイ」です。
同じ題材を扱ったものであるにもかかわらず、この作品はそのほんの30年ちょっと前の1666年にドレスデンでハインリッヒ・シュッツによって作られた「マタイ受難曲」とは、かなり異なる様相を呈しています。シュッツのそれは全曲ア・カペラで終始する極めて禁欲的なたたずまい、テキストも最初と最後の合唱以外は、全て新約聖書の「マタイ福音書」からのものとなっています。エヴァンゲリストを中心としたレシタティーヴォが淡々と述べられる中、時折群衆の言葉としてポリフォニックに繰り広げられる合唱が、束の間のアクセントという渋いものでした。
メーダーの作品は「オラトリオ」というタイトルの通り、もっとヴァラエティに富んだ音楽が味わえるものに仕上がっています。通奏低音に弦楽器とリコーダーまたはオーボエ2本(同じ奏者が持ち替え)という編成のオーケストラは、歌の伴奏だけではなく、イントロとして「シンフォニア」というインスト曲も演奏、シュッツのものとは全く異なる色彩豊かな世界を提供してくれます。そして、この時代には、聖書のテキスト以外のテキストを用いた「アリア」というものが挿入されるようになっています。ただ、「アリア」とは言ってもそれはこの、やはり30年足らず後にライプチヒのヨハン・セバスティアン・バッハが作ることになるイタリア風の壮大なダ・カーポ・アリアとは規模も、そして訴えかける感情の起伏も全く異なるものでありあした。それは、どちらかといえば、そのバッハの作品の中にも登場する「コラール」のような、極めてシンプルな「うた」だったのです。
そんな、まるで音楽史の隙間を埋めて、なだらかな傾向を知らしめるのに貢献しているようなこのメーダーの「マタイ」、そんな、変遷の経過のサンプルとしてではなく、一つの魅力的な声楽作品として愛好家の琴線に触れうるものとなったのは、ひとえにしなやかな力を持つ演奏家達に負うところが大きいはずです。中でも、エヴァンゲリストを歌っているテノールのテュルクの伸びやかな声は、ひときわ心を打つものです。自身が歌手でもあった作曲者は、このパートにことさら思いの丈を込めて作ったといわれていますが、それに見事に応えた輝かしい成果を、ここで聴くことが出来るでしょう。この録音では合唱も含めて各パート一人の歌手しか用意されていません。したがって、レシタティーヴォでは何人もの役を担当することになり、テノールもエヴァンゲリストに続いてすぐペテロが出てくるような場面もあります。そんなところでも、テュルクはしっかりキャラを描き分けています。
数々の「アリア」を歌っているソプラノのケネディも、その素直な声は感動的です。ただ、イエス役のバス、ヒルツの声が深みに欠けるのが惜しまれます。レシタティーヴォの中でもイエスのパートは「アリオーソ」という形でよりカンタービレに作られているので、この声ではちょっと物足りません。
オーケストラは、もちろんオリジナル楽器ですが、ピッチはモダンピッチより高め(当時は地域によって様々なピッチが使われていましたから、必ずしもオリジナル=低いピッチという訳ではありません)、そのせいもあって、メリハリのあるサウンドを味わうことが出来ます。
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by jurassic_oyaji | 2007-01-20 23:43 | 合唱 | Comments(1)
Commented by キャサリン at 2007-01-21 17:03 x
TBありがとうございます。
でも、タイトル文字化けしてるんですが…。
概要ドイツ語でいいんですか?
もし、必要ならTB送っていただければと思いまして。
よろしくお願いします。