おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
ISLANDSMOEN/Requiem
c0039487_20142672.jpg

Soloists
Terje Boye Hansen/
Det Norske Solistkor
Kristiansand Symfoniorkester
2L/2L36SACD



1881年生まれのノルウェーの作曲家、シーグル・イスランスモーンのレクイエムという珍しい作品が、ご当地の手作りレーベル2Lからリリースされました。全く聞いたことのない作曲家ですが「淫乱相撲」とおぼえましょう(ぜんぜん似てないって)。
オスロ音楽院を卒業後も、ライプチヒでマックス・レーガーなどの教えを受けたイスランスモーンは、しばらくは教師として務めた後、1916年からオスロ南部の都市モスの教会のオルガニストとなります。そして、オルガニストとしての生活のかたわら、合唱団やオーケストラを組織して、大規模なオラトリオなどを数多く演奏しました。作曲家としては、様々なジャンルのものを手がけていますが、やはりメインはその様な声楽作品となっています。
このレクイエムは1936年に完成したものですが、初演は少し遅れて1943年に行われています。その後、ノルウェー各地で何度となく演奏され、1949年にはベルゲンでの演奏がラジオで放送されるほど人気を博したものですが、なぜかそれ以後は完全に忘れ去られてしまいます。そんな、ほぼ散逸しかけた楽譜を修復して、再び蘇らせたのが、ここで指揮をしているハンセンです。蘇演にあたって彼は、元々はアマチュアが演奏することを想定して作られたオーケストラのパートに、プロの演奏に見合うように大幅に手を加えています。
この曲を特徴づけているものは、テーマの中に見え隠れするノルウェーの民謡のテイストです。作曲家は、この曲を作る少し前、1934年に、オスロとベルゲンの間にある山岳地帯ヴァルドレスを訪れて民謡を採集していますが、その成果がこの曲の中に反映されることになりました。
通常のレクイエムとは異なり、まず「葬送の歌」というタイトルが付けられたオーケストラだけによって演奏される曲が最初に置かれています。これは、グリーグあたりの雰囲気をそのまま受け継いだような、懐かしくもロマンティックな趣をたたえたものです。タイトルとは裏腹に、いかにもオープニングにふさわしい華やかな印象が感じられるのは、もしかしたらハンセンが付け加えたであろう打楽器やハープのせいなのかもしれません。指揮者の思惑とは異なり、ちょっと異質なけばけばしさが耳に付きます。
それ以降は、多少の入れ替えは行われていますが、例えばモーツァルトの作品のようなラテン語のテキストの曲が並びます。「Lacrimosa」などに現れる「ラ、ソ♯、ミ」のように、下降音型でも導音のシャープが生きている(「和声短音階」でしたね)あたりが、民謡っぽいところでしょうか。それぞれの曲は、とても親しみやすいテーマが現れて、暖かな思いにホッとさせられるものばかり、中でも、アルトのソロで歌われる「Recordare」は、まるでジョン・ラッターのようなポップスっぽい味わいまで醸し出してくれています。ただ、「Kyrie」、「Sanctus」、「Agnus Dei」の3曲にはかなり複雑な対位法が用いられていて、いかにも宗教曲といった面持ちを与えてくれます。そのメリスマがなんとも不思議な動きになっているのにはちょっと戸惑ってしまいますが。
合唱団は、英語にすると「The Nowegian Soloists' Choir」、あのニューステッドが1950年に創設したという由緒正しい団体です。いかにも北欧らしい透き通った音色とハーモニーにはいささかの破綻もありません。先ほどのかなり難しそうなメリスマも難なくこなしているのは驚異的です。このレーベルのポリシーを最大限に生かしたサラウンド録音、オーケストラとソリストは前方、合唱は後方という音場設定になっているのだそうです。それなりの装置を使えば、この合唱団の魅力はそれこそ耳元まで迫ってくることでしょう。ただ、音楽として積極的な訴えかけが殆ど伝わってこないのは、あるいは曲そのものに大して深いものが備わっていないからなのかもしれません。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2007-01-27 20:15 | 合唱 | Comments(0)