おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Sinfonias 5,7
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John Neschling/
Orquestra Sinfônica do Estado de São Paulo
BISCOITO CLASSICO/BC 219



以前聴いた同じメンバーによるベートーヴェンの1番と4番があんまり楽しかったので、その時一緒に店頭にあったこちらの5番と7番の方も聴いてみたいと思っていたら、いつの間にかすっかりなくなっていました。しばらくして新たに新譜扱いで出回るようになったので、やっと入手できたというわけです。
しかし、いかにもラテンのノリの軽やかな演奏だった前のものに比べて、こちらはまるで別の人のものではないかと思えるほどの重厚な演奏、これにはちょっととまどってしまいました。実は、録音されたのがあちらは2000年の4月ですがこちらは2005年の9月、そのぐらいの時間があれば、オーケストラのキャラクターが変わってしまうことだってあり得るのかもしれません。
5番は、いともまっとうな重々しい面持ちで始まります。「ピリオド・アプローチ」を聴き慣れた耳には、いかにも古くさいスタイルのように聞こえます。しかし、遅めのテンポであっても一定のビートが貫かれているいるために、ある種の颯爽感は伴います。このあたりは、やはりラテンの血がなせる技、彼らの生き生きとしたリズム感だけは健在でした。第2楽章も幾分ゆったりとしていますが、その分、金管が入ってくるあたりはトランペットの音色の明るさも手伝って、まるで賑やかなマーチのような雰囲気が漂うところが垣間見られます。
3楽章も前向きのドライヴ感のようなものは殆どありません。それどころかホルンの「タタタ、ター」というテーマがもろベタ吹き、これは同じラテンでも踊り出したくなるようなリズムではなく、もっとねっとりとした情熱的なチークダンスの趣でしょうか。ただ、フィナーレではそれまでのもたつきを晴らすかのような、なにか吹っ切れた勢いが戻ってきます。それがただの「押せ押せ」では終わらずに、きっちりとしたコントロールのあとが見えてしまうというのが、このオーケストラの「変化」の跡なのでしょうか。
7番の方は、最近1週間ごとにいやでも聴かされたテーマミュージック(そういえば、ドラマが終わってしまうととんと盛り上がるものがなくなったのは気のせいでしょうか。この地方では、あいにくアニメが放送されることはあにめせんし)が耳に残っているせいか、この演奏はかなり重たいものに感じられてしまいます。なにしろリズムが命のこの曲ですから、このオーケストラには大いに期待をしたのですが、それはちょっと肩すかしを食らった思いです。あのドラマのオープニングに使われた部分こそ、ホルンの華々しい咆哮でノーテンキな盛り上がりの片鱗は見られるのですが、なにしろこちらも「タンタタン」という付点音符が付いた3拍子がベタ弾きなものですから、軽やかさが全く出てこないのですよ。ただ、第2楽章では、割とあっさり演奏しているよう、こういうところではそれほど深刻にはならないというのが、やはり彼らの性なのでしょうか。
ちょっとユニークだったのが第3楽章のスケルツォです。管楽器が思い切り表情を付けて、殆どハメを外すほどのものを見せていたのが印象に残りました。そして、こちらのフィナーレでは、5番のような勢いはとうとう戻っては来ませんでした。それなりのお祭り騒ぎには違いないのですが、例えばこの間のベネズエラのオーケストラのような前向きの疾走感が殆ど見られないのです。
この前聴いたベザリーのCDで、このコンビがバックを務めているものがありました。その時の印象も「なにか醒めている」というものだったはずです。あれは、このベートーヴェンのほんの少し前、2005年6月の録音でした。その時にはもうすっかり以前の「天然」なキャラクターはなくなってしまっていたのでしょうか。
明るく賑やかなサンバが「洗練」されてボサノヴァになったように、このオーケストラもより「洗練」されたものに変身する道を選んだのでしょうか。一つの超個性的なオーケストラが消えてしまうことを「グローバル・スタンダード」と言うのであれば、それはちょっと寂しいような気がします。
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by jurassic_oyaji | 2007-02-01 20:07 | オーケストラ | Comments(0)