おやぢの部屋2
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Sonne, Mond und Sterne
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Bine Becher-Beck/
Cant'Ella
ARS PRODUKTION/ARS 38 457



女声合唱の作品を集めたある種のコンセプト・アルバム、ラウタヴァーラ以外には全く聴いたことのない作曲家の曲が並んでいますが、これは殆どジャケ買いです。というのも、ご覧のようにかなり前のLux aeterna」というアルバムと同じレーベルの、非常によく似た感じのジャケットだったからです。事実、あちらは「光」をテーマにした曲を集めたもの、そしてこちらは「太陽、月、星」、いずれも、このレーベルを支えるプロデューサー、アネッテ・シューマッハーのセンスが前面に押し出された素敵なアルバムになっています。
演奏しているのは、ドイツの「カンテラ」という名前の女声合唱団、確かに「光」にも関係しています(その「朝も早よからカンテラ下げてよ~」の『カンテラ』とは違いますが)。20人ほどの、それほど若くはない女性が集まったグループです。指揮者も女性の方。各地のコンクールで優勝しているという、折り紙付きの実力だと言うことです。
確かに、最初のジークフリート・シュトローバッハという人の、「Ich denke Dein」という2002年の作品でありながら殆どロマン派の合唱曲と言っても差し支えないほどのシンプルなメロディと和声の無伴奏の曲を聴くと、その暖かい響きには引き込まれるものがあります。決して凄さは感じられないのですが、合唱としてのまとまりは素晴らしく、安心して聴いていられます。一人一人の声はそれほど強いものではないので、パートとしての一体感は抜群、ハーモニーも見事に決まっています。録音されたのが、おそらく教会の中なのでしょう、豊かではあっても過度でない残響が心地よく合唱を包み込んでいます。
ただ、ブラームスの弟子だったというグスタフ・イェンナーという人のピアノ伴奏の曲では、その声の「弱さ」がもろに聞こえてしまって、ちょっと残念な結果に終わっています。おそらく、このようなきちんとした曲はあまり得意ではないのでしょう。
ですから、この中でもっとも成功しているのが、北欧系の作曲家の、ちょっと気取った和声に支配された曲たちです。フィンランドのラウタヴァーラが、例の「カレワラ」を英訳したものをテキストにした「The first Runo」では、この作曲家の様々なアイディアが次々と繰り出される中で、多彩な情景が目に浮かぶようなドラマティックな仕上がりが聴けます。ノルウェーのSteinar Eielsen(読めません)のノルウェー語による流れるようなリズムの曲「Vandrestjerner(さまよう星)」でも、その透き通ったハーモニーは魅力的に響きます。
このアルバムの中で最も大きな作品が、アルフレート・ケルッペンという人が作った「太陽の物語」です。2人の子供(ソロで歌われます)が、黒鳥から太陽の誕生や、それが人間にもたらす魅力などを語って聴かせられるという冒険の旅を描いた童話がテキストになっているそうです。全部で5曲から成っていますが、その間に「語り」が入るのがちょっとユニーク。そこでは男性の声で「光」や「太陽」についての科学的な話や歴史が語られているのですから。「ニールス・ボーア」などという、あの忌まわしい「量子力学」の創始者の名前などが出てくるのにはギョッとさせられます(物理は苦手)。音楽の方はとてもカラフルな魅力にあふれたものですが、ポリフォニックな処理や不思議な音列が使われていてかなり難易度は高いものです。しかし、この合唱団は心から楽しんで歌っているのが良く分かります。
最後に、シュトローバッハの冒頭と同じようなテイストの「Der Mond ist aufgegangen」という曲が演奏されます。それによって、ヴァラエティに富んだアルバム全体が、何とも穏やかな後味をもって締めくくられることになりました。確かに、夜空には煌々と月が輝いているようです。
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by jurassic_oyaji | 2007-02-07 19:27 | 合唱 | Comments(0)