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BUXTEHUDE/Membra Jesu Nostri
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Wolfgang Katschner/
Capella Angelica
Lautten Compagney
RAUMKLANG/RK 2403



今年は、1637年に生まれて、1707年に亡くなったドイツの作曲家、ディートリヒ・ブクステフーデの没後300年となる記念すべき年回りにあたっています。昨年の某有名作曲家の生誕250年には遠く及ばないものの、何かしらの恩恵はあるのではないか、というのは淡い期待に過ぎませんが。
かつてブクステフーデといえば、わずかにオルガン曲が聴かれる程度のものでしたが、最近では1972年に作品リストを作り上げたゲオルク・カルシュテットという人によって、その作品の全貌がほぼ明らかになっています。それが「ブクステフーデ作品目録Buxtehude-Werke-Verzeichnis」というものなのですが、これをそのまま頭文字をとって略号にすると「BWV」となってしまい、あの偉大な作曲家の作品目録と同じになってしまいますから、こちらは「BuxWV」と呼ぶことになっています。バッハさんと張り合おうなんて、どうがんばっはも無理に決まっています。
こちらの目録もバッハの場合と同じ手法を踏襲しています。つまり、ケッヘルのような作曲年代順ではなく、ジャンル別のナンバリング。その並び方もバッハと同じ、カンタータ、その他の声楽曲、オルガン作品、クラヴィーア作品、弦楽器の作品の順に通し番号が付けられています。トータルで275アイテム、かなりのものですね。そのうちの「カンタータ」と呼ばれる宗教的な声楽曲は1番から112番までというもの、こちらもそのうち全曲録音などがされる日が来ることでしょう。
そのカンタータの中で、特に人気を誇っている作品がBuxWV75にあたるこの「われらがイエスの四肢」です。以前別の演奏をご紹介したこともあるように、この曲だけでかなりの数のCDが出ているはずです。ブクステフーデの場合、1曲の「カンタータ」はバッハの作品のような長さはなく、ほんの10分足らずで終わってしまう程度の規模のものです。それを7曲ドッキングさせた「連作カンタータ」という形をとっているこの曲は、トータルでも1時間ほどの演奏時間ですから、1枚のCDとしても手頃なサイズとなっています。
今回のCDは2004年の録音、ここで指揮をしているのは、1984年に「ラウテン・カンパニー」というリュート・デュオのグループを結成したリュート奏者ヴォルフガング・カチュナーです。このグループは現在では他の楽器も加わった室内アンサンブルとして、バロック・オペラまでをその活躍の場として広げているものです。そして、彼らがまさにこの「四肢」を演奏する機会があった2002年に結成された合唱団が、ここで参加している「カペラ・アンジェリカ」、オリジナル楽器のフィールドで活躍しているプロの歌手が集められています。
今回の録音では、SSATBという5つの声部にそれぞれ2人ずつ、片方は「ソロ」担当で、ソリストとしてアリアや重唱を歌い、もう片方は「リピエーノ」として、合唱の時に「ソロ」と一緒に歌うという形です。アルトパートはもちろん男声アルトです。
アンサンブルには低音として、ヴィオローネと2本のテオルボが加わっているために、独特の安定した響きが聞こえてきます。それに支えられたヴァイオリンなどが、とても雄弁な音楽を作り出しているのが、まず印象的です。かつてよく見られたようなオリジナル楽器特有のいかにもとってつけたような不自然な表現は皆無、そこからは生き生きとした自発的な主張が感じられます。テンポはかなり速め、そのあたりが、この躍動感の源なのかもしれません。
合唱は、やはり自由度のあふれた伸び伸びとしたものです。2人のソプラノソロの声がかなり傾向が異なっていることから分かるとおり、決して小さくまとめようとはしていない姿勢が、結果として良いものを産み出しました。
速いテンポのせいでもないのでしょうが、「おまけ」としてBuxWV38「主よ、あなたさえこの世にあれば」とBuxWV62「イエスは私の生命の生命」という、「四肢」と関連のあるテキストのカンタータが2曲カップリングされています。最後に入っているBuxWV38は、決まった形のバスの上で歌われる「パッサカリア」、なかなか聴き応えのあるものです。
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by jurassic_oyaji | 2007-02-20 23:09 | 合唱 | Comments(0)