「聖地」巡りは終わりました。それは私にとって、かけがえのない体験となった、とてつもない旅でした。この2日間のことは、一生忘れる事はないでしょう。
なにしろお彼岸間近の週末ですから、まるまる休んでしまうのはちょっと気が引けるものです。ですから、金曜日にはしっかり準備を整えて、他の人でも代わりにできるような段取りを付けるのに余念がありませんでした。そして夕方に出発、その夜は東京に一泊です。
土曜日の朝は久しぶりの東海道・山陽新幹線です。これに乗るのは妹の結婚式で岡山まで行った以来ですから、一体何年ぶりになるのでしょう。そもそも5時間も同じ席に座りっぱなしなんて、東京までの新幹線が1時間半で終わってしまうのに慣れた身には、かなり応える事のはずです。「腰」もあることですし。
しかし、車窓から見える景色は、ちょっと曇りがち、一部では雨が降っているというお天気では、ちょっと富士山は見えなくて残念ではありましたが、昔々、このあたりに住んでいた思い出を蘇らせるのには十分なものがありました。中でも静岡のお茶畑などは、なんか原体験をつつかれてしまう程のインパクトのあるものでしたよ。
何ごともなく新山口まで行ったあとは、まさに初めての体験、「山口線」へ乗り換えます。新幹線を降りたホームには、同じ列車に乗っていた合唱団のメンバーがたくさん、殆どの人がこれで来たようですね。
山口線のホームまでは階段があります。もちろん、エスカレーターなどというものは付いていませんから、重たい荷物もそうそう愚妻に持たせる訳にはいきませんから、腰に負担がかからないように半分だけ持ち上げてみます。どうやらこの程度だったら大丈夫、しばらくは急な腰痛もない事でしょう。ホームは、沢山の人でごった返していました。特急「スーパーおき」という名前とは裏腹に、この車両は全部で2両しかありません。1両が指定席、もう1両は自由席です。もちろん私達は指定席を買ってあったので、その人垣をかき分けて自分の席へ向かいます。しかし、自由席の方はなんだかとんでもない事になっているようです。一緒に来た人の中には指定席が買えなかった人にいたようで、見慣れた顔の人がデッキに立っていました。普段はそんなに人が乗る事はないこのローカル線にとっては、こんな大人数に人が押し寄せるのはどうやら予想外の事態だったようですね。「本日はご迷惑をおかけしております」みたいなアナウンスもありましたし。
1時間程で、目指す津和野に到着です。駅にはペンションのオーナーが来るまで迎えに来てくれていました。1回では運びきれないので、2回に分けてのピストン輸送、最初に乗ってしまった私達は、オーナーの観光案内を聞きながら、ちょっと遠くにあるペンションへ向かいます。
一服する暇も惜しんで、リハーサル会場の小学校へ向かいます。そこでは、予定していなかったイベントが待っていました。校庭にいる安野さんと森さんの前で、城跡へ向かって歌を歌うということになったのです。いよいよ、「城跡コンサート」の幕開けです。