おやぢの部屋2
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Christmas Carols
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Soile Isokoski(Sop)
Matti Hyo()kki/
YL Male Voice Choir
ONDINE/ODE 1088-2



このレーベルから出ている「YL」、つまりヘルシンキ大学男声合唱団のアルバムはこれで2度目の紹介となります。以前のものの時には半年以上待たされてやっと手に入ったと嘆いていましたが、今回はお花見のシーズンにクリスマスアルバムです。フィンランドはなんと遠い国なのでしょう。
北欧の男声合唱団では、先ほどご紹介したスウェーデンの「オルフェイ・ドレンガー」が何と言っても有名ですが、こちらのYLも歴史と実力においては勝るとも劣らないものを持っています。特に前回のアルバムで印象的だった「ソプラニスト」のパートによる抜けるような音色は、ある意味「男声」を超えた不思議な魅力を放っていたものでした。
「クリスマス」での魅力は、ソプラノ・ソロも交えた、多彩なアレンジの妙と、それを生かし切った素晴らしい録音でしょうか。教会で行われた録音セッションの成果でしょう、オルガンも加わった華やかなサウンドがスピーカーの間を埋め尽くしています。さらに、確かな耳を持つエンジニアによって過剰な残響を取り込むことを注意深く抑えられたために、ここでは豊かな響きは保ちつつもそれぞれのパートがくっきりと浮かび上がってくるクリアな音場が実現しています。特にソプラノ・ソロのふくよかな肌合いは、ごく一般的な再生装置でも十分にその真価が味わえるはずです。
アルバムの大半のトラックは、フィンランドの作曲家による聴いたこともないような曲で占められています。その作曲家もシベリウスとラウタヴァーラ以外は全く聞いたことのない名前です。しかし、ものは「キャロル」ですから、素直に入り込んでくるものばかり、難しいことは考えず、思い切り楽しめることが出来ます。こういう曲にしてはちょっと存在感のありすぎるイソコスキのソプラノ・ソロはちょっと場違いな気がしないではありませんが、録音の良さに免じて許すことにしましょうか。バックの男声合唱は見事なサポートぶりを見せていることですし。
合唱だけで歌われる曲ではトンプソンという人の「アレルヤ」がなかなか聴き応えのあるものです。「アレルヤ」というテキストだけで盛り上がるという曲想、男声ならではの力強く澄んだ響きが圧倒的に迫ってきます。
終わり近くになっていきなりグルーバーの「きよしこの夜」が聞こえてきました。これだったら、誰でも知ってます。なんたって「楽天イーグルス」のマスコットですからね(それは「カラスコの夜」)。聴き慣れたメロディだけについ批判がましい聴き方になってしまいますが、最高音のリードパートに前作ほどの煌めきが感じられなかったのが、ちょっと残念なところです。
一番最後には、「クリスマス組曲」というタイトルで、誰でも知っているクリスマス・チューンが4曲演奏されています。これはユッカ・リンコラという人のかなり凝ったアレンジを楽しめるものです。まず、全ての曲にオブリガートとしてコール・アングレが用いられているというのがユニークなところでしょう。ちょっと地味なこの楽器の音色は、まるで牧童の吹く角笛のような穏やかな雰囲気を醸し出しています。時折擬音を加えたり、「もみの木まなかに」などは複雑な変拍子が用いられるなど、スリリングな瞬間が現れるうちに楽しく曲は進みます。ただ、ここでは、合唱団のメンバーがソロを担当しているのですが、いずれの人もちょっとソリストとしての魅力に乏しいのが気になります。「きよしこの夜」で感じた物足りなさは、こんなところに起因していたのかもしれません。
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by jurassic_oyaji | 2007-04-11 20:25 | 合唱 | Comments(0)