おやぢの部屋2
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Swider/Te Deum
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Jan Lukaszewski/
Polski Chór Kameralny
CARUS/83.176



ヨゼフ・スヴィデルという、1930年生まれのポーランドの作曲家の合唱作品を集めたアルバムです。腰のラインがセクシーですね(それは「くびれる」)。スヴィデルという名前は初めて聞きましたが、ポーランドではかなり有名な作曲家なのだそうです。オペラやピアノ協奏曲、宗教曲に室内楽、独奏曲、さらに映画音楽まで幅広い分野で活躍していますが、1980年代以降はもっぱら合唱曲を中心に作曲を行っているということです。現在までに作られたア・カペラの合唱曲は250曲を超えるといいますから、ちょっとすごいものがあります。おそらく、日本のアマチュア合唱団でも、スヴィデルの作品を取り上げて演奏しているところはあるのではないでしょうか。
この年代のポーランドの作曲家と言えば、1933年生まれのあのペンデレツキを思い浮かべることでしょう。かつて「現代音楽」の一つの潮流であったポーランド、しかし、スヴィデルはメシアンに共感を寄せることはあっても、当時吹き荒れた「12音」や「セリエル」といったある種の「トレンド」には断固抵抗の姿勢を示したといいます。確かに、このアルバムの曲たちには、素直にツボを刺激されるロマンティシズムが脈々と流れているように感じられます。
オーケストラをオルガンにリダクションした伴奏で最初の「Jubilate Deo」の演奏が始まった時、その確かにメシアンを思わせるような和声に乗って聞こえてきたポーランド室内合唱団の声は、ちょっとしたとまどいを感じさせられるものでした。パートの人数が少ないのでしょうか生の声が聞こえてしまって、あまり心地よいものではなかったのです。しかも、歌い出しに音程をずり上げるというかなりみっともないクセが、特に女声に見られます。いかにも洗練とはほど遠い合唱団だったのですが、なぜか聴き進んでいくうちにこれがスヴィデルの音楽に妙に馴染んで来るのですから、不思議です。おそらく、これがポーランド流のある種の感性なのでしょう。
そんな声に乗って、スヴィデル・ワールドに踏み行っていくと、彼の作風の幅の広さにも気づかされます。2曲目、ア・カペラで歌われる「Pater noster」などは、おしまいあたりにはまるでペンデレツキの「Stabat mater」を思い起こさせられるようなシュプレッヒ・シュティンメのようなものが聞こえてきますが、背を向けたはずの「現代技法」をさりげなく取り入れるあたりにある種の貪欲さを感じてしまいます。収録曲の大半はラテン語によるモテットなのですが、中にはポーランド語による宗教曲もあります。3曲目が、そんな、ラテン語の「Credo」を意味するポーランド語のタイトルによる曲ですが、これがまるでロシア正教の聖歌のような趣だったのにも、彼の幅広い嗜好がうかがえます。そして、5曲目の「Czego chcesz od nas Panie」というポーランド語のテキストによる曲のキャッチーなこと。殆どポップ・ミュージックと変わらない軽やかなコード進行には、思わずハモりを入れたくなってしまうほどです。女声だけで歌われる「Vocalisa "pax"」も、曲自体の澄んだテイストのお陰で、合唱団の変なクセも殆ど気になりません。
Missa minima」という曲が、なかなか味のあるものでした。ほんの4分半程の短い曲なのですが、その中でミサ通常文のうちの「Kyrie」「Sanctus」「Agnus Dei」が全て歌われているという、名前の通りの「小さなミサ」、これ1曲で長ったらしいミサ曲をコンパクトに味わえます。「Requiem aeternam」も、いわゆる「レクイエム」の最初の曲ですが、分かりやすい形で死者を悼む情感を表現した素晴らしい曲です。
10曲から成る大曲「Te Deum」は、オルガンと打楽器による伴奏(本来はオーケストラ)とソプラノとバリトンのソロが入った分、大味になってしまったという印象が残ります。このアルバムを聴く限り、ア・カペラの合唱にこそスヴィデルの魅力が集約されているような気がするのですが、どうでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2007-04-16 20:16 | 合唱 | Comments(0)