おやぢの部屋2
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Music and Lyrics
 ゴールデン・ウィークには映画館に映画を見に行くものだというのは、日本人の常識です。ていうか、そもそも「GW」というのは映画業界の人が作った言葉ですからね。チョコレート業界が「バレンタイン・デー」を作ったように。そんなわけで、もう終わりかけている「ラブソングができるまで」を見てきました。
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 80年代に大ヒットをとばしたグループのメンバーだった男ヒュー・グラントが、今では落ちぶれて「懐メロ」路線の営業専門の歌手になっているという設定。オープニングが、いかにも「80年代」という感じのビデオクリップで始まるというので、まずツボを刺激されてしまいます。このクリップがまさにあのころのもののパロディで、演奏だけでなくドラマ仕立てになっているあたりが妙なリアリティを持っています。もちろん、曲ももろ「80年代」。そんな彼が、小さい頃彼の歌を聴いて励まされたというアイドル歌手から新曲を依頼されます。と言っても、ある種のコンペだったのですが、彼は久しぶりに張り切って曲を作り始めます。ただ、彼はメロディは作れても詞は書けませんから、別の作詞家との共同作業になります。そんな相棒がすぐ出てくるのがちょっと、ですが、そこにたまたま代理で植物の世話に来たドリュー・バリモアが何気なく歌詞をつぶやいたのを聞いて、彼女とチームを組むことになる、というのが物語の始まりとなります。
 落ちぶれている割りには、管理人付きの立派なアパートに住み、部屋にはグランドピアノや、デモテープ作りのためのDTMシステム一式が完備しているというのが、ちょっとすごいところ、これは昔の曲の印税のお陰なのでしょうか。とにかく、このチームは色々あった末に曲を作り上げてしまいます。それをきちんとデモテープ(CDですが)にする課程が、なかなか興味深いものでしたよ。ヒューが一人でキーボードからベース、ギターと重ねていって、最後にボーカルをドリューと2人で入れるところまで、おそらく最近のソングライターが実際に取っているはずのやり方が紹介されています。ここでは「楽譜」が使われることはなく、曲のそれぞれのパーツはデータとしてパソコンに打ち込まれていきます。
 完成したCDをアイドル歌手に聞かせると、「こんな曲が欲しかった」と一発でOKとなって、まずは一安心となるのですが、それを実際にレコーディングするためにもろヒップホップのアレンジに変えてしまったことで、ドリューが激怒します。そのシーンでの「流行に媚びて、曲の命を殺してしまっている」という彼女の訴えは、今の音楽シーンに対する制作者からの抵抗のメッセージのように聞こえます。ですから、最後のコンサートのシーンで、彼女の訴えを聞き入れたアイドル歌手がオリジナルの形で歌うときには、言いようのない熱いものがこみ上げてくることになるのです。
 そのコンサートは、マジソン・スクエア・ガーデンというものすごいところで撮影されていました。これは実際に劇場の大画面と大音響で体験してこそ初めて感動に繋がるものでしょう。字幕は相変わらずいい加減ですが、あきらめて英語を聞いていると、あちこち小技が効いていて楽しめます。最初の作詞家と曲を作っているときに、作詞家が「minor third chord」と言っているのを字幕では「短三度」などと難しく訳していましたが、これは別に「マイナーコード」で構わないのですがね。実際、そう言われてピアノで弾き始めたのは、それまでのメージャーコードではなく、マイナーコードでしたから。そんな突っ込みも含めて、最初から最後までとても楽しめた、私にとって久々のヒット作でした。もうそろそろ終わってしまいますから、ぜひお早めに。
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by jurassic_oyaji | 2007-05-05 21:16 | 禁断 | Comments(0)