おやぢの部屋2
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竹内まりや
MOON/WPCL-10405/6


2001年に発表されたBon Appétit以来6年ぶりとなる新しいオリジナルアルバムです。2003年に出たLongtime Favoritesはオールディーズのカバー集ですからカウントはされなかったのでしょう。
このアルバムの発売に先だってのプロモーションには、すさまじいものがありました。別にバストが大きいとかそういうことではありませんが(それは「プロポーション」)。それは、最近の音楽シーンではごく当たり前のように行われているものなのでしょうが、実際に贔屓のアーティストがそんな現場で営業活動にいそしんでいる様子を見ていると、ちょっと悲しい思いがよぎります。全国各地の放送局を回って、さも、その土地だけにやってきてファンの皆様のためにラジオに出演しています、みたいな顔をして、2~3週間は使えるほどのインタビューを収録していくのですから、何とも大変なことです。しかも、話している内容はいかにこの新しいアルバムが素晴らしいかということを微に入り細に入って説明するというもの、有り体に言えば、それはこれから聴こうとするリスナーの想像力までもねじ曲げてしまうほどのお節介な行為なのではないでしょうか。正直、アイドル時代からの長年のファンである私でも、今回の異常とも思えるプロモーションにはいささかげんなりしているところです。
そんなわけで、実はアルバムを実際に聴く前に、あらかたのものはラジオを通じて聴いてしまっているのですから、今度はじっくりCDによって、録音されたままの美しい音で聴くのが何よりの楽しみになってくるはずです。ところが、その音があまり良くないのです。最近のポップスのCDは、マスタリングのレベルがとてつもなく高くなっていることは知っていましたし、実際にそういうものを何枚か聴いたことがあります。もちろん、それは単にボリュームを絞りさえすれば、きちんとクリアな音で聞こえてきたものです。しかし、今回はレベルを下げても音のクオリティが極端に悪いままなのですよ。ヴォーカルは何かざらついていて潤いがありませんし、オケの音場も平板でそれぞれのパートが主張してくることがありません。私のシステムはかなり古いものですが、クラシックに関しては何不自由なく作り手のメッセージを受け止めるだけの力は持っています。今のこういう世界のエンジニアは、音圧を上げることにのみ汲々とした結果、少し前の製品ではまともに再生できないような独りよがりの規格を作り上げてしまっているのではないでしょうか。
と、2つの点でがっかりしてしまったものの、このアルバムは音楽的にはとても味わい深い仕上がりになっています。その最大の要因はセンチメンタル・シティ・ロマンスの起用でしょうか。この名古屋の老舗バンドは、まりやの初期のアルバムには参加していたものの、最近の作品ではとんとご無沙汰でした。2曲収録されているうちの1曲「シンクロニシティ」などは、まるで1981年のアルバム「Portrait」に収録されている「Natalie」そのもののテイストでしたから、嬉しくなってしまいます。そして、おそらくこのアルバムの中心となっている「人生の扉」での、カントリーの王道を行くまったり感はどうでしょう。今のシーンではとんと聴かれることのない告井延隆のペダルスチールとフラットマンドリンのようなのどかなサウンドが、それこそこれだけのプロモーションをかけてヒットチャートの上位を占めるアルバムで聴けることの意味は、小さくはないはずです。
反面、これまでのまりやのアルバムでの最大の楽しみであった山下達郎のコーラスが幾分控えめになったような気がするのが残念です。「みんなひとり」で、松たか子まで交えて挑戦したスリリングなまでのコーラスのバトル、コーラスアレンジャーとしての達郎は健在だというのに。
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by jurassic_oyaji | 2007-05-23 21:45 | ポップス | Comments(0)