おやぢの部屋2
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AHO/Contrabasoon & Tuba Concertos
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Øystein Baadsvik(Tub)
Mats Rondin/Norrköping SO
Lewis Lipnick(CFg)
Andrew Litton/Bergen PO
BIS/BIS-CD-1574



フィンランド語には日本語と似たような発音の言葉がたくさんあるのだそうです。「スシ」といえば「狼」のことですし、「兎」のことを「カニ」というように、意味の方は微妙に違っているところが面白いですね(全然違ってますって!)。ですから、今やフィンランドを代表する作曲家とされているこの「アホ」さんも、同じ発音の日本語とは全く違う意味を持っているのだと思いたいものです。
1949年生まれのカレヴィ・アホは、最初はシベリウス音楽院で作曲をラウタヴァーラに学びます。卒業してからも、ベルリンで1年間ボリス・ブラッヒャーに師事、正統的な技法を身につけます。彼の作品は、4つのオペラを筆頭に多岐にわたっていますが、中でも12曲の協奏曲が目を引きます。そこで選ばれている独奏楽器は、オーケストラのほとんどの楽器をカバーしています。そのほかに交響曲第9番では、トロンボーンがソリストとして活躍しているように、それらは数多くのソリストたちとのコラボレーションの結果なのでしょう(例えば、その交響曲はクリスティアン・リンドベリ、フルート協奏曲は、シャロン・ベザリーのために作られました)。
そして、このCDでは、なんとチューバとコントラファゴット(ふつうは「コントラバスーン」とは言いません)のための協奏曲です。どんな楽器を扱おうと壮大なパノラマなような世界を築きあげるアホ、ここでの成果も期待できるはずです。オーケストラの最低音を受け持つ金管と木管の代表選手、その名人芸を堪能することにしましょう。
「チューバ協奏曲」は、2001年にラハティ交響楽団のチューバ奏者ハリ・リズルによって初演されました。ここでは、チューバという楽器の持つ幅広いキャラクターが遺憾なく発揮されています。それは、実は想像以上の成果だったのかもしれません。おそらくこのCDでの演奏家、オーケストラに属さずに、フリーのチューバのソリストという非常に珍しいポジションで活躍しているノルウェーの名手オイスタイン・ボーズヴィークの力によるものなのでしょうが、この楽器のほとんど知られることのないリリカルな一面が、実にくっきりと伝わってきたのです。あのどでかい図体からは想像できないような、ソフトでフレキシブルな歌い口、それはとろけるようなビブラートと相まって、誰しもを魅了することでしょう。そして、それとは極端なまでにかけ離れたエネルギッシュな低音の咆哮とのあまりの落差に、やはり誰しもが驚かされるはずです。ほんと、この、まるでチョッパー・ベースのような粒立ちのはっきりした低音は、ほとんど生理的な快感を得られるほどの勢いを持っていました。
「コントラファゴット協奏曲」は、ワシントンのナショナル交響楽団のコントラファゴット奏者ルイス・リプニックの委嘱によって、2005年に作られました。ここでもそのリプニックが演奏しています。まず冒頭に現れる長大なソロによって、この楽器の不思議なサウンドに度肝を抜かれることでしょう。そして、同じ低音でも、この楽器にはチューバとは決定的に異なる何かおどろおどろしい情念のようなものがついてまわっていることに気づかされるはずです。もはや旋律楽器というイメージはほとんど望めない、まるでサウンド・エフェクトのような役割を期待しても、それほど的外れではないことも分かるはずです。アホがそのあたりを意識したのかどうかは分かりませんが、それ以降、オーケストラが入ってくると、この楽器はコンチェルトのソリストというよりは、時折登場して面白いことをやってくれる道化師のような役割を演じさせられているような錯覚に陥ってしまいます。アホのオーケストレーションはとことん華麗さを追求するものですから、他の管楽器たちは手ぐすねを引いて存在感を誇示しようとしているものばかり。そんな中にあって、このソロ楽器はかなり屈辱的な扱いを受けているように感じられてしまうのも、またコントラが持っているキャラクターのなせる技なのかもしれませんね。今度はもっと引き立つような曲を書いて下さいね、アホさん。
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by jurassic_oyaji | 2007-05-25 19:39 | オーケストラ | Comments(0)