おやぢの部屋2
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STRAVINSKY/Le Sacre du Printemps, Petrouchka
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Evgeny Svetlanov/
Orchestre Symphonique d'État de la
Fédération de Russie
Orchestre Philharmonique de Radio France
WARNER/5101 14507-2



フランスのワーナーから、「オフィシャル・エディション」ということで、スヴェトラーノフの録音が、完成すれば全部で100枚の全集となる予定で進行中です。ニーナ未亡人の監修で進められているこのプロジェクト、全部が出揃うのは2010年の秋になるのだとか、 気の長い話ですががんばってほしいものです。というのも、最近のCD業界の変化の早さを見ていると、3年も先のメジャー・レーベルのクラシックに対する姿勢などとうてい予測できないからです。ただ、これからの新録音などはありえませんから、ほとんどがリイシュー、そんなに手間もリスクは多くはないはずですが。
ウェブサイトに連動、サイトのデザインをそのままジャケットに転用したとてもスマートなパッケージからは、このロシアの巨匠の泥臭いイメージを感じなさいと言われてもとても無理なような気さえしてしまいます。オーケストラの名前がフランス語表記なのも、そんな印象を助長するものなのでしょう。もちろん、「ペトルーシュカ」を演奏しているのはれっきとしたフランスのオーケストラですが、「春の祭典」は「ロシア国立交響楽団」をフランス語で書くとこうなるということです。
その「春の祭典」は、1966年の録音ですから、正確には「ソヴィエト国立交響楽団」と表記しなければならないのでしょう(現在の呼称で統一しているのだと思いきや、きちんと「ソヴィエト~」となっているアイテムもあるそうなので、油断は出来ません)。もちろん、これは以前MELODIYAからリリースされていたものです。今回はマスタリングが新しくなったのでしょうか、そんなソヴィエト時代のちょっと怪しげな音ではなく、ごく最近の録音だといっても通用するようなクリアな音であることに驚かされます。一つ一つの楽器の粒立ちが非常に際だっていて、その分、演奏家の細かい息づかいまでしっかり伝わってくるような気がします。そんな中で感じられるのが、この曲の中にある「ロシア的」な一面です。とかく複雑なオーケストレーションの処理に目が行きがちなものですが、ここでは、例えばピッコロのちょっとしたフレーズや、装飾音の付け方の中にもしっかり「哀愁」のようなものが宿っているのを見つけることが出来ます。オーボエあたりのちょっと不思議な音程の取り方も、ロシアの血のなせる技なのかもしれません。アルトフルートのソロでも、ノンブレスで淡々と吹いている様には何か民族的な楽器のであるかのような雰囲気さえ漂います。それと同時に、打楽器や金管楽器の、まるでロシアの大地を思わせるような、ほとんど暴力的でさえある力強さも感じないわけにはいきません。銅鑼の一発からさえ、何か特別な思い入れが聞こえてくるほどです。
もう1曲の「ペトルーシュカ」は、今回が公式には初出となるはずの、1999年にパリで録音されたフランス国立放送フィルハーモニックとの演奏の放送音源です。これは「春の祭典」とは全く対照的、もう、最初のフルートソロからロシアのオーケストラとは全く異なる滑らかな響きを聴くことが出来ます。曲自体もさまざまなアイロニーが込められた一筋縄ではいかないものですから、このフランスのオーケストラのサウンドは好ましいものです。そんなオーケストラを操るスヴェトラーノフ、無理に自分の趣味を押しつけようとはしないおおらかさの中にも、しっかりと自分の個性だけは反映させているのですから、さすがです。
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by jurassic_oyaji | 2007-05-27 21:04 | オーケストラ | Comments(0)