おやぢの部屋2
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BRUCKNER/Motets
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Petr Fiala/
Czech Philharmonic Choir Brno
MDG/MDG 322 1422-2



教会のオルガニストであったブルックナーは、折に触れて礼拝のための小さな合唱曲を作っています。「モテット」というカテゴリーで一括して分類されているこれらの曲は、1984年に「小規模教会音楽作品Kleine Kirchenmusikwerke」というタイトルで新全集の第21巻として出版され、その全貌が知られるようになりました(こちらを参照)。それに伴って、これらの曲だけをコンテンツとするCDも数多くリリースされるようになり、交響曲作曲家として広く知られているブルックナー像とはもてっと違った、別の親しみやすい一面にも光が当たるようになってきました。
そんな「モテット集」の最新アルバムです。演奏しているのはチェコのブルノを本拠地としているチェコ・フィルハーモニック合唱団、以前フォーレのレクイエムの録音を聴いたときに、大人数にもかかわらずまとまりのある繊細な演奏をしていたという印象のある団体です。
まず、このブルックナーの録音でも、その時と同じ印象が与えられたのには、嬉しくなってしまいました。正直、この曲は少人数でしっとりと歌っているものを多く聴いてきたものですから、こんな大人数(50人ほどでしょうか)では大味になってしまうことを危惧していたのですが、そんな心配は全く必要ありませんでした。各パートともとても柔らかな音色に包まれていて、響きもとてもピュア、かなり訓練の行き届いた合唱団という印象があったからです。特に女声パートのの無垢な美しさには惹かれるものがあります。その上に、いかにも大人という感じの表現の深さが加わります。極力ブレスを少なめにした長いフレーズからは、よく練られた熟達の味が伝わってきます。
それだけでも嬉しいのに、このアルバムには今まで出ていたほかのアルバムには含まれていなかった曲が多く収録されているのですから、喜びもひとしおです。それは、ブルックナーがまだ20代だった1846年に同じ「Tantum ergo」というテキストに集中的に作曲した5曲のモテットです。もっとも、ここで演奏されているのは、後年、1888年に改訂された「第2稿」によったものです。ジャケットに「1846年」という表記しかないのは、ちょっと不親切、というか不正確です。
交響曲でさんざん自作をいじくりまわすという、彼の改訂癖についてはよく知られていますが、このようなものにまで改訂の手を施すというあたりが、ブルックナーの面目躍如といった気がして、なんだか和みませんか。その中で変ホ長調の曲(新全集Nr.37-3)の第1稿(上)と第2稿(下)を比較してみると、こんな感じになっています。
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バスや内声の動きだけでなく、メロディも微妙に異なっています。7小節目のテノールの動きなど、いかにも「晩年のブルックナー」という感じが加わっていますね。
こちらで見ることが出来るように、今まで、CAPRICCIO盤、NAXOS盤、CARUS盤では散発的にニ長調のもの(Nr.38)などが収録されていたことはありましたし、変イ長調(Nr.37-2)とハ長調(Nr.37-4)はORFEO盤だけにはありました。しかし、5曲全部がこのように一堂に会するのは、おそらく今回のCDが初めてのことではないでしょうか。
その他にも、1854年に作られた「Libera me」などという録音に恵まれていない曲も収録されています。トロンボーン3本とオルガンが加わるという大規模な、それでいてシンプルな美しさに満ちた曲が、このようなすばらしい演奏で聴けることになった喜びを、噛みしめているところです。
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by jurassic_oyaji | 2007-05-29 20:22 | 合唱 | Comments(0)