おやぢの部屋2
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WAGNER/Die Walküre
c0039487_20263741.jpgJohn Bröcheler(Wotan)
John Keyes(Siegmund)
Kurt Rydl(Hunding)
Nadine Secunde(Sieglinde)
Jeannine Altmeyer(Brünhilde)
Reinhild Runkel(Fricka)
Pierre Audi(Dir)
Hartmut Haenchen/
Netherlands Philharmonic Orchestra
OPUS ALTE/OA 0947D(DVD)



ネーデルランド・オペラの「指環」、「ライン」からずいぶん間が開いてしまいましたが、やっと2日目の「ヴァルキューレ」です。今回はオーケストラがネーデルランド・フィルに変わっていますが、もちろん指揮者のヘンヒェンをはじめとするスタッフは変わりませんし、ヴォータンなどのキャストも同じです。
この公演が行われたこのカンパニーの本拠地、アムステルダムの「音楽劇場」というホールは、3層になった客席がアーチ状にステージを囲んでいます(「劇団四季」のキャッツ劇場のような感じですね)。
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オーケストラは例によってピットの中ではなくステージの上、その周りに陸上競技のトラックのような形で歌手が出入りして歌う空間があります。そのオーケストラは45度ほど斜めに配置、ファーストヴァイオリンの最後のプルトが一番客席寄り、指揮者の左半身が正面を向いている、という感じでしょうか。
もちろん、幕などは存在しませんから、最初の前奏曲の間、オーケストラの周りのステージでは、石岡瑛子の衣装による、ほとんど日本の忍者のような格好をして顔をヴェールで顔を覆ったヴォータンが歩き回っているというのは、ほとんどお約束のような演出です。そこへ、前奏曲が終わって登場したジークムントは、まるで落ち武者のような格好、ヘアスタイルはほとんど「ちょんまげ」のように見えます。実は、髪の真ん中を黒く、両端は白く染めて(もちろん鬘ですが)いたために、そのように見えたことが分かるのですが、最初は頭巾のようなものをかぶっていたジークリンデの髪も同じような色になっていたことで、この二人が「双子」であったことが分かる仕掛けになっています。ジークリンデ役のセクンデが、美貌と力強い声でひときわ魅力を放っています。
第2幕で登場するブリュンヒルデのアルトマイヤーは、1980年バイロイトのシェロー/ブーレーズの映像で、可憐なジークリンデを演じていた人ですね。相手役のペーター・ホフマンともども、若々しい魅力にあふれたソプラノでしたが、それから20年も経ってしまうと(これは1999年の収録)これほどまでに醜くなってしまうとは。「ホーヨットホーオ」というフレーズの最後の「オ」のHの音などはただの叫びでしかありません。これがファルセットになると「ヨーデルランド・オペラ」になるのでしょうね。まあ、多くを求めなければそれなりの力は感じられるものの、もはや全盛期は過ぎてしまった悲しさが哀れです。
この幕の最後で披露されるのが、お得意の炎のショーです。完璧にコントロールされたその炎は、照明とも相まってスペクタクルなクライマックスを作り上げています。この頃になってくると、1時間半の長丁場を休みなくステージの上で演奏させられていたオーケストラには明らかに疲労の色が見て取れるようになりますが、このショーを見てしまえば、そんなことは気にならなくなってしまうことでしょう。
第3幕では、このステージ上のオーケストラという配置が見事な効果を上げていることが実証されます。8人のヴァルキューレたちが縦横に位置を変えながら歌いまわるというこのシーン、オーケストラがピットに入っていると必ずタイミングが合わなくなるという難所なのですが、オーケストラがすぐそばにいるせいで見事なアンサンブルが出来ています。
大詰めの「ヴォータンの別れ」のシーンで、実に感動的な場面が出現しています。ブリュンヒルデを眠らせ、その唇にキスをしたヴォータンは、しばしそのままの姿勢で「添い寝」を続けるのです。これはおそらくアウディの演出の核心、これほど人間的なヴォータンはいまだかつて見たことがありませんでした。これで、カーテンコールで立ち上がったブリュンヒルデのボディスーツ姿がもっと美しいプロポーションであったならば、この感動はよりリアリティを伴ったことでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2007-06-16 20:29 | オペラ | Comments(2)
Commented by at 2007-08-07 12:32 x
思えば生まれて初めて聴いた「リング」がアルトマイヤーのブリュンヒルデでした。ヤノフスキ&ドレスデン・シュターツカペレの出演者はすごいのに、なぜか全く盛り上がらなかった「リング」だったのを記憶しています。某評論家が後のバイロイトにおけるバレンボイム&クップファー「リング」を「ブリュンヒルデは今公演でジークフリートと黄昏において演じたポラスキが素晴らしい。ヴァルキューレにおけるアン・エヴァンスはいただけない。アルトマイヤーの高音をしぼりだすような、金切り声を髣髴とさせる」なぞと書いていましたが(皮肉にもそのエヴァンスが録音されちゃいましたけど)、アルトマイヤーって評価が割れるみたいですね。
Commented by jurassic_oyaji at 2007-08-07 15:54
ヤノフスキ盤では、ジークリンデのジェシー・ノーマンの存在感が圧倒的だった記憶があります。