おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphony No.5
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Gustavo Dudamel/
Simón Bolivar Youth Orchestra of Venezuela
DG/00289 477 6545
(輸入盤)
ユニバーサル・ミュージック
/UCCG-1360(国内盤 8/8発売予定)


エサ・ペッカ・サロネンの後任として2009年のシーズンからロス・アンジェルス・フィルの音楽監督となることが決定したヴェネズエラの俊英ドゥダメルのセカンド・アルバムです。1981年生まれといいますから、就任時でも弱冠28歳、そんなに若くして「監督」などと、と思うかもしれませんが、現在大指揮者と呼ばれている人は、ほとんど20代後半には何らかのポストに就任しているのですから納得して下さい。カラヤンは26歳でアーヘン市立歌劇場の音楽監督になりましたし、小澤征爾がトロント交響楽団の音楽監督になったのは、彼が27歳の時でした。ただ、ドゥダメルの場合は、そういう下積み的なマイナーなポストではなく、いきなりロス・フィルという超メジャーを率いることになったというのがすごいところですね。
マーラーの5番といえば、ホルンやトランペットが大活躍する曲です。ドゥダメルのパートナー、シモン・ボリーヴァル・ユース・オーケストラは、前作のベートーヴェンでは素晴らしい演奏を聴かせてくれてはいましたが、基本的にはユース・オケ、それだけの技量を持ったプレーヤーは果たした団員の中にいるのでしょうか。しかし、そんな心配が全く無用のものであることは、冒頭の「葬送行進曲」のテーマを聴いただけですぐ分かりました。このトランペット・ソロでしたら、世界中のどこのオーケストラに入っても通用します。第3楽章で大活躍するホルンも、自信に満ちあふれた素晴らしいものでした。ただ1箇所、とんでもない音程になってしまったところがありますが、それはご愛敬、全体の流れに支障をきたすものでは全くありません。
しかし、何と言っても素晴らしいのは、ドゥダメルの意のままに動き回る弦楽器です。特に、そのダイナミックスの幅の大きさには、とてつもないしなやかなものを感じることができます。それは、第1楽章の金管がリードするトゥッティが収まったあとに来る弦パートと薄い木管のアンサンブルの場面ですぐ気付くことでしょう。一瞬録音バランスを間違えたかと思えるほどの小さな音で弾き始める弦楽器、しかし、それはドゥダメルの確かな感覚によって作り上げられた究極のピアニシモだったのです。聴いているものは、思わずそこで耳をそばだてずにはいられなくなり、そのミクロの世界に潜む深い味わいを発見することになるのです。
弦楽器とハープだけで演奏される第4楽章では、したがって、その様な味わい深いピアニシモを心ゆくまで堪能することができます。そして、1つ1つのパートがまるで生き物のように、ある時は姿を潜め、ある時は最大限のアピールでその存在を明らかにするさまを体験することでしょう。どんな弱い音にも、ことごとく生命が宿っていることにも気づくはずです。そこで繰り広げられるテンポやダイナミックスの変化は、指揮者が指示したからではなく、あたかもそれぞれのパートが自分の意志で他のパートとの掛け合いを楽しんでいるかのように聞こえます。
その様に、全ての声部が自らの意志を持って動き出した時、個人個人の姿が全く消え去って、オーケストラ全体が1つの生き物となって迫ってくる瞬間を、確かに感じることができました。それは、指揮者とプレーヤーとの絶妙な信頼関係が、最高の形で結実したものに違いありません。
一躍晴れ舞台に躍り出たドゥダメル、自分のホームグラウンドではなく、海千山千のメジャー・オケの中でこれほどの信頼関係を築くことができるのか、いま世界中の音楽ファンが注目しています。
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by jurassic_oyaji | 2007-06-30 22:25 | オーケストラ | Comments(0)