おやぢの部屋2
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KREEK/Requiem
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Mati Turi(Ten)
Arvo Volmer/
Estonian National Opera Chorus
Girl's Choir Ellerhein
Estonian National Opera Symphony Orchestra
ALBA/ABCD 229



初めてお目にかかったフィンランドのレーベルです。曲目を見ると、すべてのトラックに7桁の番号が振ってあります。これは、今はなきFINLANDIAというレーベルでも行われていたものなのですが、この2つのレーベルには何か関連があるのでしょうか。
シリルス・クリークというコーヒーになくてはならないような名前の(それは「クリープ」)人は、1889年に生まれて1962年に亡くなったエストニアの作曲家です。民族音楽を積極的に収集して研究した成果が、合唱曲を中心にした彼の作品の中に色濃く反映されています。この「レクイエム」は、そもそもは彼の友人であった7つ年上のオルガニスト兼作曲家のペーテル・スーダという人が作りかけていたものです。彼は1920年に亡くなってしまいますが、その5年後にこの曲を完成させようという動きがあったときに、彼のことを最もよく知っていたクリークに、その仕事が依頼されたのです。そして、2年後の1927年に曲は完成、1929年に初演が行われました。
この曲のテキストは、モーツァルトのものと同じ典礼文ですが、それがエストニア語によって歌われるという点が異色です。したがって、これは史上初めてエストニア語で作られたレクイエムとなりました。曲全体は8つの小さな曲から出来ています。そのうちの最初の2曲、ラテン語だと「Introitus」と「Dies irae」に相当する部分が、スーダがスケッチを残していた曲です。1曲目は、管楽器が同じコードを低音、中音、高音と3回にわたって響かせる、という不思議な始まり方を見せます。それに続いてホルンが奏でるのが、なんとあの「ウェストミンスター・チャイム」ではありませんか。「ド・ミ・レ・ソ」という、学校の始業の合図に使われているあのメロディがそのまま使われているのですよ。たまたま同じメロディになってしまったのかもしれませんが、2曲目にも例のグレゴリオ聖歌の「Dies irae」がそのまま使われていますから、あるいは何か意味を持った引用なのかもしれません。しかし、レクイエムにあのチャイムは、ちょっと合わないような・・・。
そんな、ちょっと硬直した感じがなくもない曲のあとの第3曲目、クリークのオリジナルの部分からは、うってかわって魅力的な音楽が始まるのですから、面白いものです。それはまさに、彼の音楽の神髄ともいえる、民族的なテイストにあふれたものです。とても素朴な旋律、しかし、リズムには変拍子なども現れて、平凡さからは免れています。「Sanctus」あたりは、まるでロシア正教の聖歌のような雰囲気が漂う重厚さも兼ね備えています。そして、最後の「Agnus Dei」の、なんと伸びやかで心にしみいることでしょう。3拍子のシンプルなメロディに、全く期待通りの和声が付いたその音楽は、誰しもを魅了する力を持っています。
もっとも、曲全体の構成を考えて、そのあとに例の「チャイム」のテーマが繰り返されると、なんとも冗長で散漫な印象に変わってしまうのが、ちょっと残念です。それに加えて、この人は本来は合唱のフィールドで評価されるべき作曲家、オーケストレーションがいかにも素人っぽくて、センスの悪さが露呈されてしまっています。いたずらに賑やかなだけで、ちょっと節度を欠いた派手な仕上がり、「Hostias」の最後の一撃は、絶対余計です。カップリングの「ムジカ・サクラ」という曲は、彼の合唱曲をオーケストラ用に編曲したものですが、これの原曲をこちらで聴いてしまえば、その編曲のセンスが自ずと分かってしまいますから。
演奏が、いかにもオペラの合唱団という感じの大味なものなのも、ちょっと残念なところです。しかし、いくら合唱で繊細さを生み出したとしても、このオーケストレーションではぶちこわしになってしまうかもしれませんね。
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by jurassic_oyaji | 2007-07-02 23:05 | 合唱 | Comments(2)
Commented by suomesta at 2007-07-09 21:40
はじめまして。こんばんは。

Albaのトラック毎についているコードはISRC(国際標準レコーディングコード)ですね。FinlandiaとAlbaは直接の関係はありませんがFinlandiaが活動を止めた頃からAlbaの活動が活発になっている印象があります。
Commented by jurassic_oyaji at 2007-07-09 22:13
suomestaさん、どうもありがとうございました。
表面には現れなくても、このコードは付けられているのですね。