おやぢの部屋2
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VIVALDI/Le Quattro Stagioni
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Sigiswald Kuijken/
La Petite Bande
ACCENT/ACC 24179(hybrid SACD)



カラヴァッジョの作品をあしらった新鮮なジャケット、ACCENTのデザインは昔のものとはすっかり様変わりしましたね。虫の食ったリンゴなどというリアリティあふれる果物の絵は、何かクイケンたちの生々しい音楽と呼応するものがあるような気がしませんか?
常に新しいことにチャレンジし続けているこのオリジナル楽器の先達は、ここでも新鮮なアイディアの数々で魅力的なアルバムを作り上げてくれました。その1点は、ここで演奏されている「四季」などの「協奏曲」に、各声部一人ずつの「室内楽」のメンバーで臨んだということです。これはMAKなども取り入れていたことですから別に珍しいものではありませんが、ここではさらに徹底していて、通奏低音もチェンバロ1台だけ、チェロやコントラバスで補強するということは行っていません。つまり、「四季」の場合はソロヴァイオリン、ファーストヴァイオリン、セカンドヴァイオリンの3人のヴァイオリンとヴィオラ、チェロ、チェンバロという、全部で6人での演奏という形になっています。
ところが、メンバー表を見てみると、ヴァイオリンが4人にヴィオラとチェンバロが1人ずつ、確かに6人ですがチェロを弾く人が見当たりません。一体、誰がチェロのパートを担当しているのでしょう。
実は、その答えが彼らの2点目のアイディアとなるのです。つまり、ヴァイオリン奏者がチェロを弾く、というアイディアです。
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これは、「ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ」という楽器です。「spalla」はイタリア語で「肩」ですから、その名の通り「肩のチェロ」、ヴィオラとチェロの間ぐらいの大きさの楽器を肩ひもで支えて演奏します。言ってみれば、立てて演奏していたコントラバスを、肩からつるすようにしたエレキベースの発想ですね。なんとすぱらしい。ただ、弓を使う関係から、こんな風にまるで田端義夫みたいな格好になってしまいました。この楽器はバロック時代の文献には登場しているのだそうですが、現物はもはや失われてしまっていたので、楽器制作者でもあるメンバーのヴァイオリニスト、ドミトリー・バディアロフ(右)が作ってしまったというものなのです。
この楽器の音は、最初のトラックの「チェロ協奏曲」でクイケンの演奏によって聴くことが出来ます。ヴァイオリンと同じ弾き方ですから、早いパッセージでも楽々と弾いているように感じられます。ただ、高音はともかく低音は普通のチェロのような深みのある音では全くなく、何か間の抜けた様に聞こえます。ですから、チェロの代わり、というよりは、あくまでバッハなどが指定したチェロとは別の楽器ととらえた方が良いのかもしれません。
さらに、彼らのアイディアはもう一つありました。それは「四季」のソリストが4曲全部異なるというものです。これはなかなか興味深い試みです。しかし、実際に聴いてみるまでは、これほどまでに各々の個性が発揮されるとは夢にも思いませんでした。「春」のソリスト、ジギスヴァルトの娘、サラ・クイケンは、いかにも清楚、ちょっとソロとしての存在感は薄くなっていて、装飾などもやや消極的、禁断の「ビブラート」を多様するあたりが、若さ、でしょうか。そこへ行くと、「夏」のサントスや、「秋」のバディアロフは手慣れたものです。あくまで自分の趣味を全体に反映させようとする意志がヒシヒシと感じられます。バディアロフあたりの時間に対する感覚(つまり、ルバート感)は、ちょっとすごいものがあります。しかし、何と言っても御大ジギスヴァルトは、貫禄が違います。第2楽章の、ほとんどアヴァン・ギャルドといって構わない装飾は、彼の独壇場。すごいものです。ジャケットのリンゴや梨、そしてブドウぐらいの違いが、それぞれの演奏にはありました。
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by jurassic_oyaji | 2007-07-04 20:29 | オーケストラ | Comments(2)
Commented at 2008-02-25 19:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jurassic_oyaji at 2008-02-27 12:57
バディアロフさん、コメントありがとうございました。
てゆうか、バディアロフさんは日本語がお出来になるのですか?