おやぢの部屋2
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BARTÓK/The Miraculous Mandarin
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Ákos Hernádi(Pf)
Károly Mocsári(Pf)
Franz Lang(Perc)
Jochen Schorer(Perc)
HÄNSSLER/CD 93.194



「のだめ」以来、モーツァルトの2台ピアノのためのソナタが大ブレイクしているそうですね。最初は「2小節で間違えて」いたものも、次第にまじめに練習するにしたがって、お互いの呼吸が感じられたり、次はどのように突っ込んでくるのかが予想できたりと、緊迫したアンサンブルが出来てくるようになるものです。初々しい二人のためにこんな曲を与えた二ノ宮先生のアイディアは、見事に花開きました。
2台のピアノに挑戦するのは、別にラブラブの若い音大生に限ったことではありません。殆ど50歳に手が届こうかというハンガリーのピアノ・デュオ、ヘルナーディとモチャーリというおじさん同士だって、のだめと千秋に負けないほどの息詰まるようなピアノ・デュオを展開してくれているのですから。「愛」なんかなくたって、素敵なアンサンブルは作れるのです。いや、実はあるのかも。
まずは、バルトーク自身がオーケストラから2台ピアノのために編曲した「マンダリン」です。これはなかなか珍しいアイテム、以前コチシュらの録音が出ていたのだそうですが、それはもちろん入手不能、しかも、今回は息子ピーター・バルトーク(レコーディング・エンジニアとして有名でしたね)が校訂した2000年版が使われているというのが目玉になっています。もちろん、その版が以前のものとどう違うのかなどということは分かりようもありませんが、オーケストラ版との違いぐらいなら分かります。元のオーケストラ版は、かなり派手な色彩に支配されたものでした。管楽器の超絶技巧が織りなす、まるでミラーボールのようなサウンドで始まったかと思うと、暗~いヴィオラのパートソロが現れるなど、その振幅の大きさも群を抜いています。それを2台のピアノだけで演奏したときには、そのようなオーケストレーションの要素から解放された音楽の骨組みが、実にくっきりと現れてくることになります。そんな、ある意味裸にされた「マンダリン」からは、ちょっとエロティックな肌触りなどは見事に消え去り、音階のおもしろさやリズムの妙といった、純粋に音の配置が生み出す機械的な愉悦が伝わってくることにはならないでしょうか。
おじさんたちも、ここではあまり情景的な思い入れは見せないで、ひたすらストイックに音の遊びを描こうとしているようには見えませんか?もしかしたら、それが大人のデュオとしての節度なのかもしれませんね。決して表に出すことはない「秘めた愛」でしょうか。
2人の打楽器奏者が加わった「ソナタ」では、そんなふたりの禁断の秘め事はもはや許されません。なんと言っても、この打楽器たちのドライブ感と言ったらすごいものがあります。それは、いくらシャイなおじさんたちでも、否応なしに引っ張られてしまうほどのパワーです。そして、そこに生まれるのが、4人の奏者によるポリフォニックな渦、これは見事です。あまりハマりこむとデブになりますが(それは「メタボリック」)。
しかし、改めて気づかされるのは、打楽器の豊かな色彩です。それは、この録音がとても優れていることの証なのでしょう。タムタムなどは低く包み込むような音から、ちょっと刺激的な音まで叩き方によってさまざまな音色が出るのがつぶさに分かりますし、トライアングルも微妙な響きの違いがはっきり聴き取れます。そして、シロフォンの生々しさ!これには、おじさんがたじたじになるのも無理はありませんね。3楽章などは、ほとんど打楽器にリードされっぱなしで可哀想なぐらい。
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by jurassic_oyaji | 2007-07-10 23:06 | ピアノ | Comments(0)