おやぢの部屋2
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DURUFLÉ/Requiem
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加納悦子(MS)、三原剛(Bar)
鈴木雅明(Org)
堀俊輔/
東響コーラス、NHK東京児童合唱団
東京交響楽団

LIVE NOTES/WWCC-7556



デュリュフレのレクイエムには、オリジナルのフル・オーケストラ・バージョンの他に、オルガン・バージョンと室内オーケストラ・バージョンがあります。最近は手軽なオルガン・バージョンがよく演奏されているようで、CDの種類もこれが最も多くなっています。確かに、合唱だけを見てみればこのオルガン・バージョンには素晴らしい演奏が多いのは事実、まさに理想的とも言える素晴らしい合唱を聴かせてくれているCDがたくさんありますから、この曲に関しては殆どこのバージョンだけで満足してしまう人が多いことでしょう。
しかし、いくら合唱の水準が高くても、オルガンだけの伴奏ではなにか足らないような気がしてならないのは、例えばデュリュフレの自作自演盤(ERATO)などで、この曲の色彩あふれる肌触りと、大オーケストラならではのダイナミック・レンジの広さを体験してしまっているせいなのでしょうか。一度これを味わってしまうと、オルガン版はいかにも平板に聞こえてしまいますし、殆どの管楽器のパートをオルガンに置き換えた室内オーケストラ・バージョンも、大差ないように思えてしまいます。
この「おやぢの部屋」が始まって以来ずっと新譜がなかったというほどに待望久しいオリジナル・バージョンが、なんと日本人の演奏で登場しました。2006年の10月に東京オペラシティコンサートホールで行われたコンサートのライブ録音、はたして、この曲の色彩感を存分に味わうことは出来るのでしょうか。
演奏している東京交響楽団は、素晴らしい演奏を聴かせてくれています。そういえば、明日は選挙ですね(投票交響楽団)。最近の日本のオーケストラの水準の高さには驚かされますが、以前は(何十年も前のことですが)なんとも冴えないものだと思っていたこの中堅オケは、いつの間にかちょっとした外国のオーケストラなど軽く凌駕するほどの実力を備えるようになっていたのですね。特に木管楽器のしなやかな音色は、とても満足のいくものでした。久しぶりに味わえたフル・オケならではのテクスチャー、同じ音符であっても、オルガンのパイプからは決して生まれない、人間が吹いているからこそ味わえる微妙な音のエンヴェロープを、しっかり楽しむことが出来ました。まさに、こんなところにこんな楽器が入っていたのだという新鮮な驚きを随所で体験できた喜び。「In Paradisum」の最初の部分の神秘的な響きは完璧です。
それに比べると、合唱に関してはちょっと不満が残ります。メインはこのオーケストラの付属の合唱団として作られた混声合唱団、もちろんアマチュアですが、一人一人の能力はおそらくかなり高いものがあるはずです。しかし、この日のコンサートに臨んでのトレーニングは、必ずしも万全ではなかったような気がしてなりません。なにしろ、冒頭の「Kyrie」で出てくる男声のピッチが恐ろしく暗め、それだけでがっかりしてしまいました。それを受ける女声も、音程こそ美しいのですが特にソプラノの過剰なビブラートは、この曲との違和感を募らせるものでしかありませんでした。最後の2曲に登場する児童合唱も、変に大人びた発声でなじめません。
そうは言っても、今まで出ていたこのバージョンのCDで、合唱もオケも満足のいくものなどは皆無でした。そのようなものが聴けるのは、先の楽しみとしてとっておくことにしましょう。この演奏でも、実際に会場で聴けば十分に感動的なものだったはずです。最後の音が消えてから10秒近く聴衆が凍り付いたようになっていた事実が、そのことを物語っています。
カップリングとして演奏されたのが、デュリュフレその人に師事したただ一人の日本人作曲家、尾高惇忠の「オルガンとオーケストラのための幻想曲」です。多少冗長なところはありますが、時折師匠のフレーズが見え隠れするという粋な曲です。
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by jurassic_oyaji | 2007-07-28 01:57 | 合唱 | Comments(0)