おやぢの部屋2
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Bach to Cuba
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Emilio Aragón
DG/00289 477 7031



ハバナ産の葉巻の木箱を模したジャケットが、なかなか凝ってます。シールをはがして蓋を開けると、なかなか手に入らないキューバの葉巻が出てくるような気にはなりませんか?
もう一つ凝っているのがレーベルです。右下にあるのがそのマークなのですが、そこには「EDGE」という文字がデザインされています。エッジのきいた音楽を専門に扱っているレーベルなのかと思いきや、真ん中の2文字、「DG」だけが黒くなっていることで、その正体が分かってしまいます。というか、この品番を見てもまさにドイツ・グラモフォンの数列そのものではありませんか。こういうちょっとしたボーダーレスのアイテムには、この「EDGE」というロゴが使われているのでしょうか。
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このアルバム、アイディアとしては、以前SONYから出ていたクラズ・ブラザーズのような、クラシックとキューバのリズム・セクションとのコラボレーションです。ただ、「クラズ」は基本的にはジャズのバンドだったわけですが、こちらはれっきとしたクラシックの演奏家が、キューバン・リズムと共演したという、まさにガチンコ勝負になっています。アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島、テネリフェ島にあるテネリフェ交響楽団のメンバーが、「クラシック・チーム」の選手です。これはテネリフェにあるコンサートホールで行われたコンサートの、ライブ録音だということです。
曲目として選ばれているのは、バッハの「ブランデンブルク協奏曲」の3、4、5番、それぞれ両端の「早い」楽章だけというのがユニークなところです。ちなみに、キューバン・ミュージシャンとのコラボだからといって、「9番」はありません(もともとないって)。その他に、「組曲」の2番と3番から有名な曲が集められています。
ブランデンブルクの3番と言えば、あの「スイッチト・オン・バッハ」で一躍有名になったチューンです。なんと言ってもあの歴史に残るアルバムのメイン・タイトルですから、もはやこのような企画には外すことの出来ないものとなっているのでしょう。それのキューバン・リズムとの合体、期待できるはずです。ところが、いったいどうしたことでしょう、これがさっぱり面白くないのですよ。クラシック・チームはバッハの譜面をそのまま、決して崩したりしないでまじめに演奏しています。一方のキューバン・チームはひたすらのんびりしたラテン・リズムを合わせているだけ、そこには異なる文化同士の息詰まるようなバトルなど、微塵も存在してはいませんでした。彼らはまるでリズム・マシーンのように、単調なリズムを繰り返しているだけだったのです。そののどかさといったらどうでしょう。彼らが中間のゆっくりした楽章を演奏していなかった理由も分かるような気がします。この楽章にこんなだらしのないリズムが加わったところで、退屈感以上のものを創り出すことなで出来るはずがありません。そもそも「3番」には2つの和音しか書かれていませんし。
「5番」も、状況は同じことです。第1楽章にあるはずのチェンバロのカデンツァあたりを使えばさぞ面白いことが出来たのにと思うのですが、プロデューサーであり、指揮や編曲も担当しているエミリオ・アラゴンは決してそんな冒険を望んではいなかったようです。
ただ、最後に収録されている「組曲第3番」からの「ガヴォット」では、ちょっと面白い試みを披露してくれていました。クラシック・チームがもう演奏を終わっているのに、キューバン・チームだけがこの曲のテーマ(「真っ赤だな」ですね)を元にコーラスなども入れて即興的なプレイを展開しているのです。これですよ。これを最初からやってくれていればもっともっと興味が湧きそうなアルバムに仕上がっていたはずなのに。
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by jurassic_oyaji | 2007-08-03 19:46 | ポップス | Comments(3)
Commented by at 2007-08-04 12:26 x
こんにちは。実は読む前に入手してしまっていたのですが、読んで「なるほど」と感心新たに。私の場合視聴スペースで聴いて、「これはイケる!」と買ったものです。私の場合この手のものは「いかに原曲のリズムを崩さないでアレンジしたか」で購入の是非を決めているので、クラズみたいなのは、ちょっとパスでした。昔あったフックト・オンに興味を覚えたのもそれが理由で、リズム自体を変えていないので、フックト・オンを聴いたあとで原曲を聴いてもさして違和感がないのです。その点フックト・オン2000が出たときの「トホホ」さには泣けました。
確かに「5番」のカデンツァはあってしかるべきだったなア。
でもそこそこ満足できる一枚でした。
それほどこういったアレンジものはハズしてるの多いです。
リズムを変えても納得できたのは「パルジファルゴートゥーハバナ」くらいでした。
Commented by jurassic_oyaji at 2007-08-04 20:22
智さん、コメントありがとうございました。
「パルジファル~」は私も聴きましたが、面白かったですね。
私は基本的に変わったものが好きなので、今回のようなまともなものはつい辛口になってしまいます。これはこれで、構えないで聴く時には心地よいのですがね。
Commented by at 2007-08-07 12:18 x
レスポンスありがとうございました。
「パルジファル~」はこちらのサイトでのお薦めで買ったものですよ。
毎度お世話になってます。
これからもすばらしいCDをご紹介くださいね!