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VIERNE/Complete Organ Symphonies
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Jeremy Filsell(Org)
BRILLIANT/8645



フランクやヴィドールの教えを受けた盲目のオルガニストで作曲家、ルイ・ヴィエルヌが作った6曲の「オルガン交響曲」がすべて収録された3枚組のセットです。2004年にSIGNUMに録音されたものですが、BRILLIANTからのライセンス販売によって、2000円もしないお得な値段で入手できますよ。
ヴィエルヌは1900年、彼が30才の時に、パリのノートルダム大聖堂の専属オルガニストのポストにつきます。そして、1937年の6月に開催したリサイタルで、そこのオルガンによって自作の「トリプティーク」を演奏している途中に心臓発作によってこの世を去ることになったのです。その時に演奏助手(譜めくりやストップの切り替えを行います)を務めていたのが、彼の生徒であったあのモーリス・デュリュフレでした。
1899年の「第1番」から、1930年の「第6番」まで、彼の壮年期にコンスタントに作られた「交響曲」は、それぞれ5つ(「第1番」の場合は6つ)の楽章から成っている、まさにオルガンによる交響曲と呼ぶにふさわしい、しっかりとした構成美と多彩なオーケストレーションを味わえるものです。もちろん、「交響曲」とは言っても、ドイツ風にモチーフを展開するというような厳格なものではなく、もっとメロディアスなキャラクターの目立つわかりやすい魅力にあふれています。おそらく初めて聴いた人でもすんなり受け入れて、何度も聴いてみたいと思えるような親しみやすさが、そこにはあるはずです。
例えば「第1番」では、第1楽章と第2楽章が「プレリュード」と「フーガ」と名付けられ、まるでバッハの同名の作品のようないかにもオルガンならではの壮大な世界が広がっています。バッハと違うのは、その「プレリュード」がいかにもフランス風のとても煌びやかなパッセージと音色に支配されていると言うことでしょうか。しかし、続く「フーガ」は、まるでバッハそのもののようなかっちりしたものであることに驚かされます。第3楽章の「パストラーレ」は八分の六拍子の流れるようなリズムに乗って、倍音管の透明な響きで爽やかなメロディが奏でられます。第4楽章の「アレグロ・ヴィヴァーチェ」は、軽やかなイメージ、ちょっととぼけたようなテーマがキャッチーです。第5楽章の「アンダンテ」は、まさに「癒し」の音楽でしょうか。そして、最後の「フィナーレ」では、華やかな伴奏に乗ってまるで映画音楽のような親しみやすいテーマが朗々と響き渡ります。この、最後に最もわかりやすい楽想を持って来るというのが、ヴィエルヌならではのサービス精神の現れなのでしょうか、これを聴けば、誰しもが「この曲を聴いてよかった」と思えるような抜群の効果を発揮しています。
その他の交響曲も、その中に含まれる要素は同じようなものです。煌めくアルペジオの中から浮かび上がる粋なメロディ、軽やかなスケルツォ楽章、ゆったりと歌い上げる甘美な世界、そしてスペクタクルなフィナーレ、これらのものが過不足なく配分されて、均整のとれたスマートな音楽として完結している姿を味わえることでしょう。時折、まるで民謡のような素朴な旋律が現れるのも魅力的です。「第6番」のスケルツォなどには、まるで「ダース・ベーダーのテーマ」の、栗コーダー・カルテットバージョンのようなテイストが備わってはいないでしょうか。
ピアニストとしても世界中で活躍しているオルガンのフィルセルは、とても滑らかなテクニックでめくるめく音の万華鏡を構築してくれました。いくぶんもやもやとした録音のせいで、全体の響きの方が個々の声部を覆ってしまったように聞こえてしまうのが、ちょっと物足りないところでしょうか。ほんの少しの加減でヴィエルヌの個性的なメロディ・ラインが、もっとはっきりと見えるのではないかと思ってしまったのは、ちょっと欲張りなことなのかもしれませんが。
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by jurassic_oyaji | 2007-09-10 19:57 | オルガン | Comments(0)