おやぢの部屋2
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HERBERIGS/Choral Music
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Johan Duijck/
The Flemish Radio Choir
PHAEDRA/92021



ベルギーで作られたCDなのですが、ジャケットに堂々と日本語の文字が印刷されているというのがすごいところです。もちろん、ブックレットの中もきちんと日本語で印刷されたページがあります。もっとも、オランダ語を英訳したものを読んだ方が、その日本語よりもよっぽどすんなり意味が理解できるという程度の日本語なのが、悲しいところではありますが。
これは、このレーベルがシリーズでリリースしている「In Flanders' Fields」というシリーズの最新盤になります。このシリーズでは、主に最近のフランドルの作曲家の作品を、体系的に紹介しているようです。そのラインナップを見てみると、知っている名前は皆無、「ロマンティック」というタイトルでセザール・フランクとあるのが、ただ一人の知己だというのは、現代のフランドル、あるいはベルギーの作曲家が、いかに知られていないかを物語っています。
「フランドル」(英語読みでは「フランダース」)といえば、ルネサンスの時代には「フランドル楽派」というものが隆盛を誇っていたように、かつては音楽の一大中心地でした。その頃は領地もオランダからフランスまでを含んでいましたが、現在ではベルギーの北半分を占めているだけです。有名なものと言ったら、「犬」と(「フランダースの犬」ね)、腰みのを着けた踊り(それは「フラダンス」)しかないというのは、ちょっと寂しくはないですか?
作曲家であるとともに、バリトン歌手としても活躍したロベルト・ヘルブリヒスは、ジャケットの日本語によれば「20世紀のフランドルを代表する作曲家の一人」なのだそうです。1886年に生まれて1974年に亡くなるまでに、アルフレッド・コルトット(と、書いてあるのですよ)に捧げられたピアノ曲や、合唱曲に宗教曲、そして、2曲のピアノ協奏曲と20曲に及ぶ大オーケストラのための曲などが作られています。
このCDには、そんな「膨大」な作品の中から、合唱のための作品が集められています。最初の3曲は、女声合唱とオルガンのための「3つのうた」。まるでグレゴリオ聖歌のように、終始ユニゾンで歌われる宗教曲です。変なクセのない、しっかり心に染み渡るその単旋律の流れが素敵、この作曲家は確かに聴き手を魅了するだけのメロディを作る才能には恵まれていることがよく分かります。
続いて、3曲のやはり宗教曲が、今度はきちんと4声の混声合唱で歌われます。まるでロマン派の合唱曲のような親しみのある和声が、心を和ませてくれます。演奏しているフランドル放送合唱団は、一応プロの団体ですが、パート内での音色のまとまりや、アンサンブルはちょっとゆるめ、オランダあたりの団体とはちょっと差が付けられているな、という感じがします。
次は、「8つの混声合唱曲」という曲集から、6曲が演奏されています。この曲集の特徴は、それこそネーデルランド楽派が隆盛だった時代の詩人の歌詞に、曲が付けられているということです。他の曲はオランダ語ですが、これだけ言葉がフランス語、曲調もまるでラヴェルの合唱曲のようなおもむきです。そうなってくると、この合唱団のゆるさがもろに現れてしまって、ちょっと辛い状況に陥らざるを得ません。まず、フランス語のディクションがちょっとお粗末、オランダ語とフランス語というのは、かなり隔たった言語であることがよく分かります。そして、アンサンブルの荒さは、このちょっと小粋なハーモニーには致命的、ちょっと残念です。
しかし、最後の「13の古いフランダースの歌」という曲からの抜粋は、文句なしに楽しめるものでした。文字通り、フォークロアのようなものを素材にした合唱曲なのですが、そこに7人ほどの管楽器が加わります。しかも、手の空いた人は太鼓なども叩きますから、とても賑やかな仕上がりになっています。ちょうどカントルーヴの「オーヴェルニュの歌」のような趣でしょうか。こうなると、合唱団の血が騒ぐのでしょうか、今まで見られなかったような楽しさが演奏から伝わってきます。伴奏の管楽器にちょっと変わった和声を使ったりするところがなかなか気がきいていて、このあたりが「フランドルを代表」などと言われる所以なのでしょう。この曲が聴けただけで、買っただけの価値はあったと思うことにしましょう。
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by jurassic_oyaji | 2007-09-24 20:26 | 合唱 | Comments(0)