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Berühmte Musical-Melodien
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ドイツのSONY BMGからまとめてリリースされたバジェットものの中の1枚です。音符の頭(符頭といいます)をデザインしたジャケットは、すべてのアイテムに共通したもの、普通はタイトルの文字はBACHとかBEETHOVENといった作曲家の名前なのですが、これはブロードウェイミュージカルのコンピレーションなので、BROADWAYですって。その下にあるドイツ語は、「有名なミュージカルの旋律たち」という意味です。SONY、というかCOLUMBIAには、ブロードウェイミュージカルのオリジナルキャスト盤の膨大なコレクションがありますから、そのうちのほんの「有名な」ものを集めてみた、というアルバムなのでしょう。
そんなわけですから、18曲のラインナップのうち、殆どは1950年代、もしくは1960年代のものとなっています。中でもフレデリック・ロウの「マイ・フェア・レディ」(1956)からは5曲、レナード・バーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」(1957)からは4曲と、やはり「有名」なものに集中しているのは当然のことでしょう。これらの作品は映画化されて多くのオスカーを獲得したという実績もありますし。
もちろん、ここに収録されている音源は、映画のサウンドトラックではなく、劇場で上演された際のキャストによるオリジナルキャストのものです。「ウェスト・サイド・ストーリー」に関しては、すでに全曲盤をこちらでご紹介していますから、その値打ちは保証済みです。中でもマリア役のキャロル・ローレンスの可憐さは、サントラ盤のマーニ・ニクソン(ナタリー・ウッドの吹き替え)を聴き慣れた方にはとても新鮮に感じられるはずです。
実は、同じニクソンがオードリー・ヘップバーンの吹き替えをした「マイ・フェア・レディ」の映画は、サントラ盤も買い込んでしっかり聴いていたのですが、オリジナルキャストのジュリー・アンドリュースがイライザを歌っているバージョンは、今回初めて聴くことになりました。「踊り明かそう」などを彼女の歌で聴いてみると、やはりさすが、という気がします。独特のくずし方が、しっかりとした表現となって確かに歌に深みを与えているのが、よく分かります。もちろん、それはこの曲が作られた当時の話ですから、今となってみれば多少「臭く」感じられるのは、致し方のないことではありますが。ですから、この作品に関しては、やはりオードリーの完成されたヴィジュアルの方が、歌のまずさには目をつぶっても惹かれるものがあります。それにしても、映画版でも出演しているヒギンズ教授のレックス・ハリソンや、アルフレッド役のスタンリー・ハロウェイの歌のディーテイルが映画と寸分違わないのには驚かされます。ステージでの「芸」が、そのまま映画で披露されていたのですね。
サイ・コールマンの「スウィート・チャリティ」(1966)からは2曲収録されていますが、その中の「ビッグ・スペンダー」というナンバーは、この頃のレビューの雰囲気を色濃くたたえたもので、殆ど「パブリック・ドメイン」に近いほどの汎用性を持ってしまった曲です。あのロイド・ウェッバーが「キャッツ」の中でよく似たナンバーを作ったのも、このあたりの時代に寄せたある種のオマージュだったのかもしれませんね。あんこをたっぷり入れて(それは「お饅頭」)。
そんな、ある特定の時代を間違いなく感じられるようなテイスト(それは、かなり新しい作品である「コーラス・ライン」や「バーナム」にもついて回っています)が露骨に現れている曲たちの中にあって、バーンスタインの作品の中だけには時代を超えた真の意味での斬新さが宿っていることを認めないわけにはいきません。「ウェスト・サイド・ストーリー」こそは、時代を、そしてジャンルをも乗り越えた名作であることが、こんなコンピから図らずも明らかになっていたのです。
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by jurassic_oyaji | 2007-09-26 21:12 | ポップス | Comments(0)