「テルミン」を買ってきました。と言っても、7万円もするmoogの「Etherwave」なわけはなく、たった2300円の雑誌のおまけです。まあ、グリコの「食玩」みたいなものですね。
こんな分厚い「雑誌」ですが、本体は下にくっついてる(簡単に剥がせます)薄っぺらなもの、そして、「テルミン」の部品は発泡スチロールに入っています。
必要な工具はドライバーだけ。ただ、普通のものでは大きすぎますから精密ドライバーでないと。まず足をネジ止めです。
心臓部の基板。もちろん、最初から出来ています。左の丸いのはスピーカーです。アンプ用のICチップが1個だけ裏側に付いていますが、あとはみな古典的なアナログパーツです。
この基板を、本体にネジ止めします。スピーカーも裏板に固定。
次は、「テルミン」になくてはならないアンテナの取り付けです。上蓋に固定するための治具も取り付けます。
上蓋をかぶせ、ループアンテナの形をした電源スイッチを取り付け、ネジ止めすれば完成です。
ほんの15分ぐらいで、こんなぐあいに完成してしまいました。本体の裏側が電池入れになっています。右の写真の前に付いている2つの穴は、ボリュームを回して、チューニングを行うためのものです。
これに電池を入れてやって、スイッチを引っ張れば音が出るはずなのですが。なぜかなんの反応もありませんでした。仕方がないので、ネジを外して基板をいじってみたら、ほんのちょっとした加減で、いきなり「ブー」と鳴り出しましたよ。かなりデリケートなもののようです。音は出たものの、その調整が一仕事です。最初は、アンテナに手を近づけると本当は音が高くなるはずのものが、逆に低くなったりします。それを、2つのボリュームで2つの高周波発振機の周波数を変えてやりながら、微妙に調整しなければなりません。1度調整したものも、しばらく経つと全然別の高さの音になってしまったりします。とにかく不安定な「楽器」です。
適当なところで折り合いを付けて、とりあえず歌わせてみました。本物の「テルミン」は、アンテナがもう1本付いていてそれでボリュームを調整できるのですが、これはそれが出来ませんから、音はひたすら鳴り続いています。音を出さないようにするためには、手を遠ざけなければいけないのですが、そこに行くまでにはとんでもない下降グリッサンドを経験しなければいけませんし。まあ、でも、ビブラートが好きなようにかけられるのが、なかなか面白いものでした。このなんとも言えないゆれ具合がまさに「テルミン」の命、どうやら、この楽器の根元的な味は、この「おまけ」にもきちんと生かされているようでした。