おやぢの部屋2
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BERNSTEIN/West Side Story
c0039487_1951314.jpgHayley Westenra(Maria)
Vittorio Grigolo(Tony)
Connie Fisher(a Girl)
Nick Ingman/
Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
DECCA/476 6269
(輸入盤)
ユニバーサル・ミュージック
/UCCS-1111(国内盤10/31発売予定)


今年、2007年は、バーンスタインのミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」がブロードウェイで初演されてから50年目という、記念すべき年にあたっています。東京では「劇団四季」が12年ぶりのロングラン公演を行っている最中、この際ですから、今まで映画でしかこの作品を見たことのない方は、ぜひ舞台版もご覧になっていただきたいものです。というのも、1961年に映画化されたときには、ナンバーの順序を入れ替えるなど、かなりの改変が行われているからです。例えば、「クール」というかっこいい曲は、映画では決闘でジェット団のボス、リフが殺されたあとで、団員のアイスが歌っていますが、オリジナルの舞台ではこれは決闘の前に、まだ死んではいないリフによって歌われることになっているのです。
バーンスタイン自身がこの曲をオリジナルの形で録音し、その際に決定稿ともいうべき楽譜を出版してくれたおかげで、今ではまるでオペラを録音する感覚でクラシックのアーティストがアルバムを作るようになっています。もちろん、それは舞台版に基づいたストーリーに従った楽譜によっているわけですから、映画のプロットが頭に入っている人には、多少混乱を招くかもしれません。そのうち、オペラハウスで上演されたこの作品(スカラ座などでは、しっかりレパートリーになっています)のDVDが発売されるようなこともあるのでしょうね。そんなものがまだ市場に出回らないうちは、ステージ版を体験できるのは「劇団四季」ぐらいしかありませんから。バカにしてはいけませんよ。なんせ、30年近く前に上演されたときには、オケピットではあの高橋悠治が指揮をしていたのですからね。
やはり50周年記念ということで作られたのが、このアルバムです。セリフやちょっとした転換のための音楽などは省いてあっても、必要な音楽はすべて1枚のCDに収まってしまうというのが有り難いところ、バーンスタインの自演盤以後の、おそらく3枚目となる全曲盤です。とは言っても、マリア役にあのヘイリーを起用したというあたりに、そもそも真摯にこの作品の「名盤」を作る気などさらさら無かった制作者の趣味を感じてしまうのは、やむを得ないことでしょう。そう、「ピュア・トーン」だかなんだか知りませんが、この歌手が歌い始めた瞬間に、その場に不思議なオーラが立ち上るのを、誰しも感じないわけにはいかないはずです。そしてそのオーラは、確かにそこに彼女の世界を造り出してはいるものの、それは完璧なまでにこの「ウェスト・サイド・ストーリー」とは乖離した世界だったのです。そこにあるのは、確かに美しく、もしかしたら癒されると感じられるかもしれない歌、しかし、その歌からは見事にドラマというものがが消え去っていたのです。その場の空気を読むことを決してせずに、ひたすら「私って、きれいでしょ?」と自らの世界に入り込んでいる姿が、そこにはありました。
Somewhere」は、映画ではトニーとマリアとのデュエットですが、ステージ版では「少女」が歌います。これ1曲だけのために参加しているのが、この度ウェスト・エンドで25年ぶりに再演された「サウンド・オブ・ミュージック」での主役に大抜擢されたというシンデレラ・ガール、コニー・フィッシャーです。まだまだ物足りない部分もありますが、ヘイリーに比べたら間違いなくドラマを表現していて、大スターとなる片鱗を見せていました。トニー役のグリゴーロは本物のオペラ歌手、リズム感こそ甘いものの、安心して聴いていられます。
オーケストラも、ここでは頑張っています。録音のせいもあるのでしょうが、バーンスタインのオーケストレーションの要がきちんと聞こえてきています。プロローグの後半のリズムが、まるで「春の祭典」のような複雑なアクセントで成り立っているなんて、ここで初めて気が付きました。その気になればかなり水準の高いものとなっていたはずなのに、ヘイリー1人のためにどうしようもないアルバムになってしまったのが、とても残念です。
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by jurassic_oyaji | 2007-09-30 19:53 | オペラ | Comments(2)
Commented by keyaki at 2008-06-22 08:46 x
はじめまして。
「グリゴーロ」を検索していて辿り着きました。
オペラ関連のブログをやっていますが、記事中にリンクさせていただきましたので、事後になりましたが、よろしくお願いします。
Commented by jurassic_oyaji at 2008-06-22 10:00
keyakiさま、リンクありがとうございました。
まだ「クラシック」でのグリゴーロは聴いたことがないので、参考になりました。