おやぢの部屋2
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千秋真一...
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 今回の定期演奏会は、いつもとは全く異なるタイプの指揮者との共演となりました。最大の相違点は、私たちを最初から最後まで「優秀なオーケストラ」として扱ってくれた、ということです。何と言っても我々はアマチュアですから、どんな指揮者が来たとしても必ず欠点が露呈してしまいます。そこを、彼らは程度の差こそあれ、きっちりと「直す」ことに、最大の力を注ぐように見えます。ある人は、言うだけ言って、とても直らないと悟ると明らかにハードルを下げた指示にシフト、またある人は、いとも露わに「不愉快だ!」という言葉で不快感を表明、その度に私たちは言いようのない寂しさにうちひしがれたものでした。
 しかし、茂木さんは、なにしろ参考にということで最近の定期演奏会のCDを送った時点で「これはプロの演奏です」と言いきったほど、正直今まで受けたことのないほどの賞賛の言葉で、私たちを包み込んでくれたのです。あろう事か、ブログという公の場でも私たちを褒めまくって下さいました。「スコッチの冒頭を振って数分で、このオケが非常に訓練された、理解力と演奏技術を兼ね備えたとてもよいオケであることがわかる」といった具合です。
 リハーサルの間、茂木さんの私たちに対する信頼感はどんどん増していくことが良く分かります。「素晴らしい!」、「もうなにも言うことはありません」、「まるで、ベルリン・フィルです」。もちろん、それが過大な褒め言葉であることは、私たちには良く分かっています。しかし、そのように言われることによって、確実に私たちの中から余計な緊張がなくなり、伸び伸びとした自発的な音楽が育っていくのが、目に見えて分かってくるのです。特に弦楽器など、いつの間にあんなに上手になっていたのだろうと思うほど、素晴らしいものを聴かせてくれるようになっていました。音色だって、とてもアマチュアとは思えないような輝かしいものが聞こえてくる瞬間だって、確かにありました。
 これが、「茂木マジック」だったのでしょう。褒めまくることによって、潜在的に持っていた能力を最大限、あるいはそれ以上に高めるすべを、茂木さんは多岐にわたる才能のひとつとして備えていたのです。それは、まるでオーラのように、「この人と一緒だったら、安心して良いものが作れる」という暗示のようなものが、メンバー1人1人に伝わっていったのかもしれません。実際に彼のコミュニケーション能力の高さは、個人レベルにまで及んで、有無を言わせぬ力で信頼感を獲得しているのでしょう。私も、さすがにメアド交換まではしませんでしたが、本番前に楽屋の前でたまたま茂木さんに会った時、「あそこのフェルマータ、大丈夫ね?」と一言言われただけで、リハーサルではちょっと不安だった1楽章導入部の最後の高音Eのソロの伸ばしが、本番ではとても楽に吹けましたし。
 しかも、打ち上げの席上では、私たちの力を信頼していなければとても出来ないようなオファーを披露して下さいました。実現するかどうかは分かりませんが、そこまで言われれば私たちの能力が本物なのかもしれないと思ってしまいますよね。
 多分、茂木さんという人は、フランツ・フォン・シュトレーゼマンのような、不思議な魅力を持った方なのかもしれません。私たちには知り得ないようなネガティブな面が多々あろうとも、見事にプレーヤーをその気にさせてしまう、それはまさに「魔法」だったのです。
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by jurassic_oyaji | 2007-10-28 14:29 | 禁断 | Comments(0)