おやぢの部屋2
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このNAXOSを聴け!
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松本大輔著
青弓社刊
ISBN978-4-7872-7235-5


著者は、今までにもこの出版社から2冊のクラシック本を出しています。それらと一緒にこの本を読めば、この方はとてつもないクラシック音楽のマニアであることが分かることでしょう。何しろ、その聴く量がハンパではありません。おそらく、一日の殆どの時間をCDを聴くことに費やしているに違いありません。なんともうらやましい、と思ったら、実はこの方は通信販売専門のCDショップ、「アリアCD」の店主だったのですね。CDなんて売るほどありあ(意味不明)。
そんな、超コアなリスナーである著者が、今まで聴いてきた数多くのCDの中で、特に感銘を受けたものにNAXOSのものがかなり多く含まれていたことから、こんな、特定のレーベルをタイトルにした尋常ではない本を書こうと思い立ったのだそうです。さらに、このレーベルにこだわったのには、もう一つの理由がありました。著者は以前の書物でもご自分が感銘を受けたCDを紹介して、その思いを読者と共有しようとしていたのですが、程なくそれらのものは廃盤や製造終了となって入手不能になってしまったというのです。せっかく紹介しても、現物が手に入らないのであればなんにもなりません。しかし、NAXOSでは基本的に一度発売したアイテムを廃盤にすることはないというのです。しかも、他のマイナーレーベルとは違い、全国どこのかなり小さな小売店でも扱っていて、店頭になくても注文すれば間違いなく手に入れることが出来るという非常にありがたい体制が整っているのだそうなのです。なんでも、20年前に誕生したこのレーベルは、今までになんと3000枚以上のCDをリリース、そして現在も、毎月何十枚という新譜を出し続けているということ、それらが総て入手可能な状態にあるというのですから、これはすごいことですね。
そんなNAXOS1000枚(!)は聴いてきたという著者のお薦めは、とことん濃いものでした。なにしろ、「有名な作曲家」というコーナーでも、普通によく知られている作曲家などはまず登場しないのですからね。スヴェンセンやチャドウィックのどこが「有名」だというのでしょう。ティシチェンコやグレチャニノフなんて、初めて聞いた名前ですし。しかし、そこでめげていてはいけません。このコーナーを読破し、さらに「マイナーな作曲家」へと進む頃には、あなたも著者の熱気に煽られていっぱしのクラシックマニアになってしまっていることでしょう。
著者がこの本の中で多くのページを割いて紹介しているのが、例の「日本作曲家選輯」です。日本の代理店が企画を出して、今まで殆ど知られることのなかった日本人作曲家の作品を体系的に紹介しようというとても他のレーベルでは実現しそうもないプロジェクト、著者は執筆時点でリリースされているすべてのアイテムについて熱いコメントを寄せているのです。
しかし、そのコーナーの最後で「このシリーズは頓挫してしまうかもしれない」と述べているあたりから、この本は別の意味で極めてドラマティックな様相を呈することになります。折しも著者が原稿をすべて書き上げた頃に、NAXOSを創業時から支えてきた日本の代理店が、突然「も~辞めた」と言って代理店の権利を返上、他の会社がその業務を引き継ぐことになってしまったのです。このあたりの詳細な経緯も、「あとがき」のような形で正確に知ることが出来ます。そのことによって、こちらにも書いたように、少なくとも今までの「廉価盤」というイメージは、もはや期待は出来ないようになってしまいました。しかし、このレーベルはすでに他では決して得られないレアなものをくまなく集めた、まさにクラシック音楽の百科事典としての確固たる地位を築き上げています。この本で著者は、図らずも「新生」NAXOSへ向けて熱いエールを送っているようには、見えないでしょうか。
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by jurassic_oyaji | 2007-10-28 19:54 | 書籍 | Comments(2)
Commented by まつもとだいすけ at 2012-04-20 17:19 x
ああ、何て素敵な言葉をいただけていたのでしょう!
Commented by jurassic_oyaji at 2012-04-20 23:33
まつもとさま。
いつもお世話になっております。
NAXOSのよしだともども、今後ともよろしくお願いいたします。