おやぢの部屋2
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One More Song
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Calmus Ensemble
QUERSTAND/VKJK 0612



また一つ、素晴らしいコーラスを知ることが出来ました。その名は「カルムス・アンサンブル」、韓国の合唱団ではありません(それは「辛みそアンサンブル」)。ドイツのライプチヒを中心に活躍している、女声1人、男声4人のグループです。
ライプチヒという都市で思い出すのは、あのバッハがカントールを努めていた聖トマス教会です。そもそもは、そこの付属の聖歌隊のメンバーだった男声5人が1999年に結成したもの。その後、2001年に中部ドイツ放送(MDR)児童合唱団のメンバーだったソプラノのアニャ・リプフェルトが加入して、現在の編成となっています。
聖歌隊出身のコーラスグループと言えば、まず最初に思い出すのは、あの「キングズ・シンガーズ」ではないでしょうか。彼らも、この先輩グループには多大な影響を受けているのは事実、実際に彼らはシュレスヴィヒ・ホルスタイン音楽祭でキングズ・シンガーズのマスタークラスを受講、彼らのサウンドに最後の磨きをかけたということです。また、彼らのウェブサイトには、ライプチヒを訪れたキングズ・シンガーズのオリジナルメンバー、サイモン・カーリントンと一緒の写真が、誇らしげに掲載されています。
彼らは、今までにライプチヒのレーベルQUERSTANDから4枚のCDをリリースしていましたが、それらはすべてクラシック系のレパートリーでした。今回は一念発起、「もっと別な曲を」ということで、こんなタイトルのポップスのアルバムを作ることになったということです。そういえば、キングズ・シンガーズも最初の頃はルネサンスのマドリガルなど、クラシックの曲しか録音はしていませんでしたね。ポップスに手を染めるようになるのは、デビューしてしばらく経ってからのことだったはずです。
しかし、このグループは初めてのポップスアルバムを出した時点で、すでに師匠のキングズ・シンガーズをはるかに超える確かなテクニックと、高度のセンスを持っていました。最初の曲、ドイツ語で歌われる民謡のテイストを持った歌はバリトンのベームくんのアレンジになるものですが、いきなり「スウィングル・シンガーズ」風のスキャットで、「フィガロの結婚」序曲のフレーズを持ってきたり、昔のラジオから聞こえてくるようなローファイの音が混じったりと、豊かなアイディアには脱帽です。ドイツ語の早口言葉の応酬は、まさにドイツ人のグループとしてのアイデンティティでしょう。もちろん、そのスキャットは本家「スウィングル」よりもずっとタイトなものでした。
女声が1人入っていることで、ソプラノパートも無理のない明るい響きが聴かれます。リプフェルト嬢はハーモニー感覚も抜群で、音程、音色とも見事に男声に溶け込んでいます。そんな彼女が、ガーシュインの「サマータイム」では、ガラリと発声を変えてソリスティックに歌っているのですから、たまりません。そんな一面を見てしまうと、このグループはあの卓越したスキルを持ったジャズコーラス、「シンガーズ・アンリミテッド」にも通じるようなものさえ持っているような気にもなってきます。1人1人の声がリアルに聞こえてくる録音の良さも、見逃せません。そういえば、「アンリミテッド」も、コーラスの録音にはドイツのスタジオを使っていましたね。
ポップスとはいっても、あまり馴染みのない曲が多い中にあって、やはりビートルズ・ナンバーは欠かせないものだったのでしょう。「Got to Get You into My Life」は、ローファイに加えてSP風のスクラッチまで入ったレトロな音から、いきなりシャープな音に変わるというサプラジングなアレンジ、アップテンポ気味に進むノリの良さは、同じ曲のキングズ・シンガーズのバージョンとは隔世の感があります。
かと思うと、フレド・ユンクというジャズ・ピアニストのオリジナルでは、彼自身のピアノに乗ってとことんジャジーに迫っているのですから、彼らのキャパシティの広さには驚く他はありません。あ、そういえば、彼らはクラシックも歌っているんでしたね。
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by jurassic_oyaji | 2007-11-04 20:34 | 合唱 | Comments(0)