おやぢの部屋2
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RESPIGHI/Pines of Rome, Fountains of Rome, Roman Festivals
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Arturo Toacanini/
NBC Symphony Orchestra
JVC/JM-M24XR01



今年、2007年は、アルトゥーロ・トスカニーニというパスタみたいな名前の(それは「ペスカトーレ」)往年の名指揮者が亡くなってから50年という記念の年になっています。ちなみに彼は90才になる年に亡くなっていますから、同時に生誕140周年を迎えるということになるのだそうです。そんな、殆ど歴史上の人物(実際、生まれたのは江戸時代)が演奏したものが録音として残っているというのですから、考えてみたらこれは大変なことですよ。いえ、それは、ただ単に「残っている」というだけのものではなく、現代でも十分に通用するほどのクオリティを持ったものなのですから、ちょっとすごいことです。
しかし、今回このXRCDを聴くまでは、実は彼の録音はそんなに大したものではなかったのだとずっと思いこんでいました。LPを数枚持っていたのですが、どれも潤いのない、やたらとハイが強調されたギスギスした音だったからです。フルトヴェングラーの方が低音がたっぷり出ていていいな、ぐらいにしか思っていませんでした。そのフルトヴェングラーにしても最近の復刻盤などを聴いてもかなりひどい音でしたから、なおさらトスカニーニは「悪い音」という印象が根強く残っていたのです。
そんなトスカニーニの録音を、わざわざXRCDにして出すという噂を聞いて、なぜそんな無駄なことをするのか、不審な思いに駆られたものです。しかし、あの杉本さんがそんな意味のないことを行うわけがありません。程なくしてその杉本さん自身によるインフォを目にした時、その疑問は解けました。LPとして出ていたトスカニーニの録音は、実はかなり音質に手が加えられていて、元の音とはかけ離れたものになっていたというのです。ですから、そこでオリジナルのマスターテープからCDにするというこのプロジェクトの意味が出てくるわけです。最初にRCAのエンジニアが収録していた音とはどんなものだったのか、そこに興味がわかないはずはありません。
このシリーズの一番手としてXRCDがリリースされたのは、トスカニーニの名演奏と誰しもが認めるレスピーギの「ローマ三部作」でした。録音されたのは「祭り」が1949年、「噴水」が1951年、そして「松」が1953年ですから、当然モノラルです。しかし、音のクオリティは、今まで抱いていたイメージを軽く超えるものでした。特に、最も古い録音である「祭り」で聴くことの出来る弦楽器の瑞々しさはどうでしょう。さらに、3曲中最も大きな編成をとっているにもかかわらず、そのバランスの良さは筆舌に尽くしがたいものがあります。
最も新しい(それでも半世紀以上前のものですが)「松」などでは、その上に解像度の良さが加わります。グロッケンの生々しさ、チェレスタの神秘的な響き、そしてピアノの生き生きとした音色など、明晰そのものの音像で迫ってきます。2曲目冒頭の弦楽器のふくよかな雰囲気なども、信じられないほどの存在感を示しています。
そのようなリアルな音を通して聞こえてきたものは、NBC交響楽団のメンバーの技術の確かさです。特に木管楽器奏者たちのソロを聴くと、このオーケストラの水準の高さを実感することが出来ます。これは間違いなく、あの時代の最高の能力を持ったオーケストラでした。もしかしたら、現代のオーケストラでも、これほどの豊かな音色と、確かなイントネーションを持っているところは少ないのではないでしょうか。このことは、例えばさっきのフルトヴェングラーのバイロイトでの録音などと比較すると歴然としています。
そのような卓越したオーケストラによって繰り広げられるトスカニーニの確信に満ちたインテンポの世界、それがどれほどの力を持つものだったのか、今回のマスタリングによって初めて理解できたような気がします。
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by jurassic_oyaji | 2007-11-12 20:43 | オーケストラ | Comments(0)