おやぢの部屋2
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BERNSTEIN/West Side Story
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Kiri Te Kanawa(Sop/Maria)
José Carreras(Ten/Tony)
Tatiana Troyanos(MS/Anita)
Marilyn Horne(Sop)
Leonard Bernstein
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「ウェスト・サイド・ストーリー」がブロードウェイのウィンター・ガーデン劇場で初演されたのは、1957年9月26日のことでした。それは、その時から3年近くに及ぶロングラン公演と、それに続いて映画化されて全世界に衝撃を与える、まさに「幕開け」だったのです。このミュージカルは今に至るまで愛され続け、世界中で上演され続けてきました。初演からちょうど50年後の同じ日には、たまたま東京の四季劇場「秋」で劇団四季による公演が行われ、カーテンコールでは主演の加藤敬二が「今日、この作品を上演しているのは、世界中で私たちだけです」と誇らしげに挨拶を述べることになるのです。
そんな「50周年」を記念してリリースされたのが、このアイテムです。1984年に作曲者のバーンスタイン自身が初めてこの作品の指揮をして録音したという、まさに画期的なアルバムに、その時の録音セッションの模様を収録したメイキングDVDが同梱されているというもの、さらに、ブックレットには貴重な写真も満載ということなので、すでに持っていたものを買い直すだけの価値はあるはずです。。
CDは、演奏時間が76分ですから、今では難なく1枚に収められますが、最初に出た頃はは最高74分までしか収録できなかったので、ギリギリのところではみ出してしまい、やむなく他の曲をカップリングさせて2枚組となっていました。それだけでもすでに「歴史」を感じてしまいますね。DVDにしても、もちろん最初に発売されたときにはレーザーディスクだったはずです。ただ、こちらの方はわざわざ買わなくても、何度もテレビで放送されていましたから、それを見ていました。
指揮者でもありながら、27年間自作の指揮をする機会のなかった(ステージはマックス・ゴーバーマン、映画ではジョニー・グリーンという人が指揮をしています)作曲者が、満を持して録音に望んだ場には最高のキャストが用意されていました。マリア役にはキリ・テ・カナワ、トニー役にはホセ・カレーラスという、当代随一のオペラ歌手が主役を歌うべくスタン・バイをしていたのです。オーケストラも、スコアに指定されたピット用の人数よりもかなり大目、弦楽器はスコアの2倍、木管楽器もマルチリード数人ではなく、持ち替えなしで10人以上が座っていました。そう、まさにここでバーンスタインは、シンフォニー・オーケストラによる「ウェスト・サイド・ストーリー」を目指していたに違いありません。DVDによると、フルートのトップを吹いているのは、なんと、かつてニューヨーク・フィルの首席奏者を務めていたジュリアス・べーカーではありませんか。
ここでのバーンスタインの目論見は果たして成功したのか、それは、録音から23年も経っていながらも、このような形でのリイシューに耐えられることが、ひとつの評価であることは間違いありません。一方で、このような記念行事でもない限りは顧みられることはなかったのだ、という辛辣な見解もあり得ることでしょう。少なくとも、カレーラスに関しては、メイキングの中で赤裸々に指摘されていたリズム感の無さや発音の問題は、決して解決されることなく記録されてしまい、それは永遠に嘲笑の的になることだけは確実です。そう言う意味で、このドキュメンタリーを作ったBBCのハンフリー・バートンの嗅覚には、感服せざるを得ません。まさに腹を空かせたハンターです(それは「ハングリー」)。
このハードカバー仕立てのパッケージは、分厚い表紙の中にCDとDVDが収められ、その間は多くの写真を含む100ページにも及ぶテキストとなっています。その写真の中には、今まで見ることの出来なかった初演の時のステージの模様がありました。体育館でのダンスや決闘のシーンと並んで、ひときわ注目を引くのが、「Cool」の写真。これによって、このナンバーは本来は駐車場ではなくドクの店の中で踊られたものであることが良く分かります。その事と、この作品を演奏するには、バーンスタインは世の中を知りすぎていたことが再確認できたのが、今回改めて購入して得られた最大の成果でしょうか。
実は、このDVDにはボーナス・トラックとして他のDVDの「予告編」が入っています。その中のブーレーズ/シェローの「指環」を見ていたら、「神々の黄昏」の最後でいきなりさっき聴いたばかりの「I Have a Love」が聞こえてきたので、一瞬びっくりしてしまいました。それは「愛による救済」のライトモチーフ、そんな連想が出来るのも、バーンスタインが演奏していたせいなのでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2007-11-14 20:32 | オペラ | Comments(0)