おやぢの部屋2
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RHEINBERGER/Sacred Choral Works
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Charles Bruffy/
Phoenix Bach Choir
Kansas City Chorale
CHANDOS/CHSA 5055(hybrid SACD)



アメリカのフェニックス・バッハ合唱団のアルバムは以前ご紹介しましたが、今回は同じ指揮者が芸術監督を務めているカンザスシティ合唱団との合同演奏でラインベルガーの作品集です。この2つの合唱団は、大人数が必要な曲を演奏するときには、このような形での共演を日常的に行っているようで、このレーベルへの録音もこれで3枚目となります。指揮者のブラフィーは、最初はテノール歌手だったものが、ロバート・ショウに認められて指揮者になったという方だそうです。今では世界中を駆けめぐる売れっ子指揮者、なんせ、今年シドニーでヴェルディのレクイエムを演奏したかと思うと、来年にはプラハでデュリュフレのレクイエムが予定されているというのですから。
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左が、前のアルバムにあった写真。ほんの3年の間にずいぶん変わってしまいましたが、苦労も多かったのでしょうか。将来はどんなディスコグラフィーが生まれることでしょう。
彼に率いられた総勢50人のプロのシンガーから成るこの2つの合唱団は、大人数にもかかわらずとても精緻なアンサンブルを聴かせてくれています。その上に、この人数ならではの深い響きが加わって、この後期ロマン派の重厚な合唱作品をほぼ理想的な形に仕上げてくれました。
リヒテンシュタインに1839年に生まれたヨーゼフ・ガブリエル・ラインベルガーは、オルガン曲の作曲家として広く知られていますが、宗教曲でも魅力的な作品を数多く残しています。これらは多くの合唱団のレパートリーとして、演奏会に取り上げられることも多くなっています。実は、地元でも近々変ホ長調のミサ曲を生で聴けることになっているのですが、タイミング良くこのアルバムでもメインはそのミサ曲でした。
これは二重合唱のために作られた無伴奏のフル・ミサですが、そのしっとりとした味わいは、まるでブルックナーのモテットを思わせるものがあります。その上に、しっかりとした構成とさりげない転調がちりばめられ、とても親しみやすいものになっています。特に、各々の曲のテーマが非常にキャラの立つもの、それが幾度となく再現されますから、聴き手は安心して曲に浸ることが出来るはずです。「Credo」の跳躍の多いテーマなどは、一度聴いたら忘れることはないことでしょう(この曲の中での磔の場面から復活に変わる瞬間の音楽の素敵なこと)。「Sanctus」の終わり、「Hosanna in exelsis」などは、モーツァルトのレクイエムからの引用になっていますしね。
流れるような8分の6拍子(たぶん)に乗った、明るい「Benedictus」では、「Hosanna」がアーメン終止によって閉じられるという粋な扱いがなされています。それは、まるで次に現れる「Agnus Dei」での言いようのない暗さを導き出すためであるかのように聞こえます。この曲からにじみ出てくる哀しみには、深く胸を打つものがあります。そして、それに続く「Dona nobis pacem」こそが、このミサ曲全体のハイライトなのでしょう。このテキストを何度も何度も繰り返すうちに訪れるクライマックス、それは一瞬のうちにまた静かなものに変わります。
しかし、この部分の究極のピアニシモが、この合唱団のソプラノにはほんの少しのためらいが見られるのが非常に残念です。実は、その前の盛り上げる部分でも、このソプラノには主体的に先に進もうという意気込みがあまり感じられず、せっかくの緊迫感がそがれてしまうような場面が見られたのですが、そのあたりが「ほぼ」理想的と言った理由です。例えば「ポリフォニー」のソプラノだったらもっと自発的な音楽を産み出すことが出来るのだろうな、といった物足りなさを、つい感じてしまったのです。でも、それはテノールなどがあまりにも軽々と自分の仕事を完璧にこなしているために、つい高望みをしてしまったせいなのかもしれません。
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by jurassic_oyaji | 2007-11-26 20:37 | 合唱 | Comments(0)