おやぢの部屋2
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ORFF/Carmina Burana
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B. Fournier(Sop), M. Brodard(Bar), P. Sigrist(Ten)
亀田真弓,Jean-Jacque Balet(Pf)
Ensemble a percussion de Geneve
Bernard Heritier/
Choeur novantiqua de Sion
CASCAVELLE/VEL 3114



オルフの「カルミナ・ブラーナ」ほど、よく知られた作品もありません。ウサギのキャラはこどもにも人気(それは「ブルーナ」)。この曲が作られたのは1936年のことですが、1956年には作曲者自身の手によって、2台ピアノと打楽器のために編曲された版が出版されています。ご存じのようにこの曲は大編成のオーケストラを必要とするものですから、普通の合唱団などがそうそう簡単に演奏することは出来ません。そこでオルフは、オーケストラを準備できないような小規模なグループでも演奏できるようにと、こういうものを用意したということです。
その編成で選ばれた楽器というのは、実は元の編成の要となっているものでした。そもそも、この曲のオーケストレーションでもっとも印象的に聞こえてくるのは2台のピアノと、多くの打楽器群なのですし、曲の中にはこれらの楽器だけで演奏されている部分すらあるのですからね。したがって、例えば本来はオーケストラには含まれていなかった楽器であるピアノ2台のために「編曲」されたブラームスの「ドイツレクイエム」などとは、ちょっと事情が異なっていることは、十分に念頭に置いておく必要があるはずです。事実、この編成での録音で今までに何種類か出ていたものを聴いてみると殆どオリジナルの印象がそのまま保たれているように感じられます。
ただ、テノールのソロが入った、「Olim lacus colueram」というナンバーの場合は、比較的オーケストラ版との違いがはっきり出てくるのかもしれません。冒頭のファゴットのとんでもない高音(アマチュア奏者では演奏不能)では、まるで絞め殺されるような白鳥の悲痛な思いを与えられるものですが、ピアノ版でそれを表現するのはかなり難しいことでしょう。今回の演奏では、ことさらさりげなく、最初からファゴットの模倣はあきらめているように聞こえます。続くフルートによるフラッター・タンギングは、白鳥の嗚咽でしょうか。これも、ピアノによるトリルではちょっと健康的すぎる響きです。
逆に、コンパクトな編成になったことで、元の曲のスリムな姿がはっきりしてくる場面も見られます。声楽の入らないオーケストラのみのナンバー「Tanz」では、メタボ気味の元のオーケストレーションからは聞こえて来にくい9の和音の響きがはっきり現れてきて、オルフの和声に対する感覚の意外な一面に気づかされたりもするのです。
今回のアルバムは、1990年頃の録音が、ミドプライスでリイシューされたものです。ピアニストのうちの1人は亀田さんという日本人でもありますし、取り上げてみました。
もっとも、指揮者や合唱団、そしてソリストたちは全く聞いたことのない名前ですし、正直それほど高いレベルでもないようです。演奏のスタイルも、ぐいぐい引っ張られるようなドライブ感のあるものではなく、きっちり手堅く曲をまとめようというものですから、そんなに緊張感のあるものではありません。第1部の最後の曲「Were diu werlt alle min」のイントロのトランペットで演奏されるかっこいい十六分音符のフレーズも、ピアノの打鍵の問題でしょうか、かなり遅めのテンポになってしまってちょっと盛り上がりに欠けてしまっています。最悪なのは、先ほどの白鳥のアリアを歌っていたテノール。あまりに素直に歌っているためになんのおもしろみも感じることは出来ません。
ただ、合唱はそこそこ破綻のないものですし、男声のア・カペラなどはなかなかのものでした。そして、バリトンソロにこの曲に必要な遊び心が十分に備わっていたために、全体としては満足のいく仕上がりになっています。何よりも、普段聴き慣れているオーケストラ・バージョンでは他の楽器に隠れてしまっていたような打楽器がストレートに聞こえてくることによって、この曲の荒々しいサウンドが再確認できたのは、得難い体験でした。
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by jurassic_oyaji | 2007-12-23 00:27 | 合唱 | Comments(0)