おやぢの部屋2
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マエストロ・ペンの お茶にしませんか?
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末廣誠著
レッスンの友社刊
ISBN978-4-947740-15-1


指揮者の末廣誠さんが、月刊誌「ストリング」に連載していたエッセイが単行本になりました。「ストリング」というのは料理雑誌(それは「イカリング」)ではなく、弦楽器を演奏する人のための専門誌ですから、なかなか普通のクラシック・ファンの目にはとまりにくいはずです。こんな風にきちんと1冊の本になれば、誰でもこの抱腹絶倒のエッセイが味わえますよ。今すぐ書店に走って立ち読みをしましょう!って、きちんとお金を払って買わなきゃダメじゃないですか。
末廣さんは指揮者としては超一流の方ですが、文章を書く才能もずば抜けたものをお持ちです。コンサートのパンフレットなどによく曲目解説などを執筆されていますが、それはとても新鮮な視点から書かれていて、思わず「そうだったのか!」と膝をたたいてしまうような、素敵なものです。何しろ「カルメン」の解説が「今夜、この舞台の上では殺人が行われる」で始まるのですからね。
そんな末廣さんが、「ストリング」で繰り広げていたのは、とことん笑えるお話しでした。ほんと、どの回も3回以上はくすくす笑いがこみ上げてくることは保証します。そのうちの1回は大爆笑かもしれません。なんたって「序曲『便秘薬』」ですもんね。
指揮者として全世界を飛び回っている体験と、音楽に対する該博な知識を、ここまで面白いものに仕立て上げる才能は、単に文章のテクニックというのではない、末廣さん本人が備えている「笑い」に対するセンスによるものでしょう。そういえば、本文中にも登場しますが、末廣さんは大の落語マニア、中でも、故桂枝雀が大好きだったとか、確かに、あの一見ハチャメチャにみえて計算し尽くされた笑いのセンスは、末廣さんの文章の中にも感じ取ることが出来ます(ところで、枝雀のDVDは入手されたのでしょうか)。最高に笑えたのは、雑誌連載の時に、この本の中にある2年分の連載の最後から一つ前の号で「次回はなんと最終回」とやったことでしょう。その前に直接ご本人と話をしたときに、「3年間連載します」とおっしゃっていただけにこれはショックでした。しかし、次の号ではケロッとして「次号から新シリーズをスタートします」ですって。もちろん、このやりとりは単行本には収録されていませんが、この手の込んだ2ヶ月連続のジョーク、こうなるとかなりブラックっぽくなってきますね。ちなみに、その「新シリーズは」、「名曲言いたい放題編」というタイトルで、今でも連載が続いています。
しかし、そんなおかしさに笑い転げているだけでは、真の末廣ファンとは言えません。一見面白おかしい中に、末廣さんならではの鋭い主張が込められているのを、決して見逃すことは許されないのです。例えば、「子供のための音楽教室を考えるの巻」では、真に音楽が好きな人間を育てるためには何が必要なのか、とても示唆に富む提言が語られています。また、「コンクールについて考えるの巻」では、普段漠然と感じていた疑問点が、とても明白な形で示されています。そうなんですよ。大人になってからのコンクールなんて、絶対あり得ない話じゃないですか。
嬉しいことに、この単行本には雑誌には掲載されていなかった書き下ろしが4編も加わっています。それを読めば、なぜ「マエストロ・ペン」なのかがよく分かるという、これももしかしたら末廣さんの仕掛けだったのかもしれません。そして、最後の1編には、極めて真面目に末廣さんの音楽に対する信条告白が述べられています。「柄にもなく大まじめなことを書いてしまった」などと茶化していますが、これこそは末廣さんの本心であることは明らかです。油断をしてはいけません。
そうなんですよ。最大の油断は、これを読んで末廣さんのことを「面白く、楽しい人」と思いこんでしまうことなのです。本当はとっても怖い人なんですからね。
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by jurassic_oyaji | 2007-12-29 01:28 | 書籍 | Comments(6)
Commented by at 2009-10-30 22:20 x
いよいよ明日になりました。何か本番と同じ数日前の練習では、時間が意外とかかり出発時間まで間に合うかが不安・・・。何も知らない周りの人たちは、ゆっくりやればいいと?今年は担当が男性なんだよね、スムーズに流れてくれればって祈っているのに・・・。そして天気も好くないとの事、何でこうなるのかな、また降りられない時の事思い出しちゃう。ああマーラー聴きたい。先生にも会いたいなぁ?独り言!行ける事祈って・・・だれかー?
Commented by at 2009-11-07 22:41 x
仙台ニューフィルの演奏会に行ってきました。よく分からないうちに、のめり込んでしまいました。指揮者の末廣誠さんの全身を使ったダイナミックな指揮に思わず見いってしまいました。凄いの一言!でした。        マーラーの音色は音が入り混じっていて合わせるの大変だっただろうなと、ふと・・・。でも演奏している方達はスコアをめくっていなかっので、繰り返しだったのか?それとも暗譜してたのか?どちらにしても素晴らし演奏会でした。でも、この時のパンフレットが・・・見当たらない。欲しいょ~。誰間違えて持っていっちゃったの?悲しい・・・
Commented by at 2009-11-27 21:34 x
ストリングの11月号のなかで、ヴァイオリニストのイダ・ヘンデルさんの文面を読んで 考えた事が、ー私はヴァイオリニストである前にひとりの女です。ーと言う見出し  確かにそうなんだって事!いつも凄いなと思っている尊敬する先生もそうなんだった・・・今更ながら考えたことです。仕事であって その仕事をいかにやるかと言う先生の至誠が、あは大好きだし尊敬していたのでありました。宇宙人とは思っていなかったけど・・・う~ん?先生 どんな不味いものでも美味しいと思って食べられると言うことは、どんな生活???もしかして、そういう物に当たったって事かも・・・ひょっとしてあの時のかいな~。
Commented by at 2009-12-01 22:36 x
何で出ているのですか?表示されないって・・・?いやだ!!
Commented by at 2009-12-23 21:41 x
新春のオペラのチケット既にゲットしたもんね。両日見て観たい!初日は一番安い席で、2日目はS席で、どんなんだろう?何となく面白いかも・・・おっと まだ1枚聞いてないや、あるかな~? 楽しみ・・・とっても!!   これから あまり聴いたり、観たりする機会無いのかな~?東京の住人2月末には上陸するし、そうなるといよいよ考えないと・・・。何がお勧めなんだろう?宿泊先なんて全然わかりましぇ~ん・・・。クリスマス悲しいかもね。・・・みんなとわいわいやりますか・・・?
Commented at 2010-03-22 23:09 x
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