おやぢの部屋2
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Drum in The Symphony no. 9th
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Massimo Aiello(Drum)
Walter Attanasi/
Slovak Philharmonic Choir
Slovak Radio Symphony Orchestra
AZZURRA/TBP-JAB039



年が明けたばかりだというのに、こんなアイテムです。今年の「第9」にはまだまだ間があります。
ジャケットと、そのタイトルを見れば、どうやらこれはベートーヴェンの「第9」を、オーケストラとドラムスが競演したもののようですね。こういう名曲はもはやなんでもありの状態ですから、とうとうこんな編成のものが飛びだしたということでしょうか。しかし、クレジットをよく読んでみると、これは生のオーケストラとドラムスがいっしょに演奏したわけではなく、すでにあった普通の「第9」のCDを聴きながら、それに合わせてドラムスを録音した、というもののようです。そういえば、指揮者やオーケストラなどは、まるで一昔前のNAXOSのようなマイナーな顔ぶれですね。もちろん、ソリストの名前の誰一人として聞いたことはありません。
正確には、オーケストラの音源が録音されたのが2000年頃、そして、このアイエロさん(普通に変換したら「愛エロ」だって)が、言ってみればそれをカラオケにしてドラムスを録音したのが2001年ということです。そんな古いものがなぜ今頃出回るようになったのかは、分かりません。
第1楽章は、とりあえず冒頭のホルンの5度では何も手を付けてはいません。ドラムスが登場するのはヴァイオリンの細かいアウフタクトが入ってからです。「ドラムス」とは言いましたが、もちろん「太鼓」だけではなくシンバル類も使われますから、ここではまずそのシンバルがヴァイオリンにアクセントを付け加えることになります。これがかなり繊細なタッチで行われますから、まずは一安心、このシンバル類のさまざまな音色を駆使しての「上塗り」は、かなりの場面でなかなかの効果を発揮することになります。これを聴く前に最も心配したのは、例えば「フックト・オン・クラシック」のように、のべつバスドラムのビートが刻まれて、妙なグルーヴが生まれてしまうことでした。しかし、そんないかにもリズミックな処理は本当にビート感が必要な場所のみにとどめられているあたりが、アイエロさんのこの曲に寄せる「トリビュート」のなせる技なのでしょうか。曲の中に込められたビート感をさりげなくひきだした、という感があります。
ですから、第3楽章のように殆どリズムとしての要素がないところでは、いともおとなしげに演奏しているだけです。その代わりと言ってはなんですが、楽章の頭に1分40秒ほどのインプロヴィゼーションが挿入されています。これも、「ドラムス」というよりは「パーカッション」と言った方が良いような心地よいものです。
第4楽章での聴きものはなんと言ってもテノールのソロが出てくる部分の「マーチ」でしょう。ここでのアイエロさんは、スネアドラムでまさに「マーチ」そのもののロールを聴かせたくれた結果、ここは本物の「行進曲」になってしまいましたよ。これはちょっとしたショックでしたね。そこから聞こえてきたまるで軍楽隊のようなテイスト、これもやはりこの曲の押しつけがましいキャラが見事に表に現れたものでしょう。
そしていよいよ大詰め、ソリストの四重唱が終わったところで、やはりドラムスだけのソロが入ります。「カデンツァ」のつもりなのでしょうね。これが延々7分以上も続きます。これこそが、ベートーヴェンの呪縛から解き放たれた、アイエロさんの自己表現の場だったのでしょうか。そのあとに続く最後のプレストが、逆に違和感のあるものに思えてしまうから不思議です。
しかし、この「本体」であるべき演奏の、なんと主体性のないことでしょう。逆に、これだけシンフォニーとしての「表現」のない演奏だからこそ、しっかりドラムスと融合して聞こえるのでしょうね。こんな演奏を探し出してきたアイエロさんにも拍手。
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by jurassic_oyaji | 2008-01-07 21:35 | オーケストラ | Comments(0)