おやぢの部屋2
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MacMILLAN/The Confession of Isobel Gowdie
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Christine Pendrill(CA)
Colin Davis/
London Symphony Orchestra
LSO LIVE/LSO0124



ロンドン交響楽団の自主レーベルであるLSO LIVE、もはやすっかりマーケットに定着して、これまでに多くの名盤を世に出しています。スタート当初から、ライブ録音とはいってもかなりクオリティの高い音を提供していくれていましたが、2004年頃からエンジニアがそれまでのトニー・フォークナーからジョナサン・ストークスに代わり、同時にDSDを導入したことでさらにグレードアップが図られています。そのあたりから、すべてのアイテムをCDとSACDの両方のフォーマットでリリースしてきていましたが、このアルバムだけはCDのみ、ちょっと残念です。
ところで、今更なんですが、このレーベルのロゴマーク、ただ頭文字を並べただけのものだと思っていたら、どうもその文字を使ってなにかの形をデザインしたもののようですね。確かに、右手に指揮棒を持って左手を挙げている指揮者を正面から見た姿のようには、見えてはこないでしょうか?
このアルバムには、このオーケストラからは多くの曲の委嘱を受けてきたジェームズ・マクミランの作品が2曲収められています。今までマクミランの合唱曲はかなり聴いてきましたが、オーケストラの曲を聴くのはこれが初めて、楽しみです。
1曲目は、1996年に作られた「世界の贖罪」という曲です。料理の材料をテーマにした曲ですね(それは、「世界の食材」)。いえいえ、本当はロストロポーヴィチによって初演された聖なる3日間を題材にした三部作の最初の曲、聖木曜日を扱ったものなのですが。その2作目はチェロ協奏曲、3作目は大規模な交響曲という中で、この1作目はコール・アングレの協奏曲という形を取っています。ここでマクミランが素材として求めたものが、聖木曜日にちなんだプレイン・チャントや、バッハのコラールなのですが、ソロのコール・アングレはもっぱら息の長いチャント風のフレーズを、延々と紡いでいます。合唱作品を聴いていたときにはあまり気づくことはありませんでしたが、マクミランの作曲技法で特徴的なのは、いくつかの異なる世界を、同時に提供するもののように思えます。この曲の中でも、バッハのコラール「Ach wie nichtig」が高らかに鳴り響く調性の世界と、混沌とした不思議な和声の世界の共存は、ひときわ印象的です。打楽器の使い方もかなり色彩的、単なるリズムに終わらない主張が込められているものです。最後の部分に寒々しく響き渡るおそらく硬質の木片によるパルスには、心も凍る思いです。
そして2曲目は、作曲者の故郷スコットランドでの、宗教改革による魔女狩りの犠牲となった女性の手記に基づく「イゾベル・ゴーディの告白」です。透き通るような弦楽器の奏でる癒しにも通じようかという瞑想的な部分と、金管楽器の炸裂する激しい部分との対比が聴きどころでしょう。変拍子やシンコペーションが混在したリズミカルなモチーフはこの作曲家の魅力の一つですが、そこでいまいちすっきり聞こえてこないのは、おそらく指揮者のせいなのでしょう。それでも、荒々しい不協和音によるアコードが13回連続する部分は、聴いているものにとってもあたかも自らが鞭打たれているかのような錯覚に陥るかもしれないほどのインパクトです。最後も死者を悼むような穏やかな弦楽器の響きによって、もしかしたら「救い」が得られたのかと思いかけた頃、その「C」の音のユニゾンの中からいきなり襲ってくる怒りに満ちた打楽器の嵐。その怒りは、いったい何に向けられたものだったのでしょう。
なんでも、4月にはマクミランの新作「ヨハネ受難曲」がやはりデイヴィスとロンドン交響楽団によって初演されるそうです。それもやはりこのレーベルから即座にリリースされる予定、これも聴き逃すことは出来ません。
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by jurassic_oyaji | 2008-01-13 22:30 | 現代音楽 | Comments(0)