おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOZART-SALIERI-RIGHINI/Arie di bravura
c0039487_2024331.jpg


Diana Damrau(Sop)
Jérémie Rhorer/
Le Cercle de l'Harmonie
VIRGIN/00946 395250 2 7



ドイツ出身のソプラノ、ディアナ・ダムラウを初めて見たのは、2003年のコヴェント・ガーデンでの「魔笛」のDVDででした。その時の衝撃は強烈なもの、非の打ち所のない完璧な「夜の女王」の出現を、興奮気味に受け止めたものでした。その時の彼女の見た目は、かなりケバいメークのおかげで年齢不詳、というか、かなりの年増女に思えるようなものでした。その後、2006年のザルツブルクでの同じ「魔笛」では、いくらか抑えめのメークでしたから、やや素顔に近いものがうかがわれはしましたが、やはりそんなに「若い」という印象はありませんでした。もちろん、このときの「夜の女王」も完璧な仕上がり、ますます円熟の度を高めていたという印象とともに、演出のせいもあってかなり演技の上手な人だという発見もありました。
そして、待望のソロアルバムの登場です。このジャケ写で初めてその素顔に接したときの素直な感想は「わ、若すぎる・・・」というものでした。調べてみたら、彼女はまだ36才ということですから、それも納得です。この胸の大きく開いたドレス、とってもセクシーですね。
ここで彼女が選んだレパートリーは、お得意の「夜の女王」のアリアといったモーツァルトものの他に、あのサリエリと、そして初めて聞く名前、モーツァルトと同じ年に生まれたヴィンツェンツォ・リギーニのオペラアリアというものです。いずれも同じ時代に大活躍をしていたオペラ作曲家たちですね。なんでもダムラウは1998年にサリエリの「クビライ、ダッタンの大王Cublai, gran Khan dei Tartari」というオペラが世界初演されたとき(作曲家の生前には演奏はされませんでした)に、それの出演者だったんだそうです。そこでサリエリの魅力に惹かれ、それ以来、ぜひ最初のアルバムではサリエリの曲を歌おうと、いろいろ準備をしてきたそうなのです。その間に、たくさんの音楽学者(その中には、日本人のミツイシ・ジュンジさんという方も含まれます)の協力で、今まで忘れ去られていたサリエリの作品を数多く発見、それはこのアルバムでのダムラウの演奏によって、間違いなくその素晴らしさを再発見されることでしょう。
その「クビライ」と、2004年にスカラ座で歌った「見いだされたオイローパL'Europa riconosciuta」からは、それぞれ2曲のアリアが歌われています。最初のトラックの「残酷な疑惑の中にFra i barbari sospetti」から、その華やかなサリエリのコロラトゥーラは圧倒的に聴くものを魅了するものでした。まさに超絶技巧といってもよいその高い難易度の装飾を、ダムラウはいともたやすく、殆ど楽しんでいるかのように歌いきっています。いや、それだからこそ、単なる技巧に終わらないしっかりとした音楽となって、人に喜びを与えるものとして伝わってくるのでしょう。
何度も聴いてきた「夜の女王」の2つのアリアは、まさに絶品です。この人は、コロラトゥーラとはいっても、高い音だけではなく低い音もとても楽に出せるという、まさにあり得ないような声の持ち主です。ですから、低音が多く出てくるためになかなか名演には巡り会えない第1幕のアリアも楽々クリア、もちろん、有名な第2幕の方などは、鬼気迫るような感情まで、余裕で表現してくれています。
実は、このアルバムには同じテキストにサリエリとモーツァルトがそれぞれ曲を付けたものがいっしょに入っています。サリエリは「煙突掃除人Der Rauchfangkehrer」というオペラからのアリア、モーツァルトは単独のコンサートアリアなのですが、この2曲を聴き比べてみると、サリエリの曲の方が格段にキャッチーだとは感じられないでしょうか。モーツァルトのクラリネット五重奏曲が幕間に演奏されたというリギーニのオペラのアリアもとても素敵、このアルバムでダムラウは、胸のすくようなその声とともにサリエリ、リギーニといったモーツァルトと同時代の作曲家の知られざる魅力も、存分に披露してくれました。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2008-01-15 20:25 | オペラ | Comments(0)