おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOZART/Die Entfürung aus dem Serail
c0039487_20211538.jpgMalin Hartelius(Sop/Konstanze)
Magali Léger(Sop/Blonde)
Matthias Klink(Ten/Belmonte)
Loic Félix(Ten/Pedrillo)
Wojtek Smilek(Bas/Osmin)
Jérome Deschamps, Macha Makeieff(Dir)
Marc Minkowski/
EuropaChorAkademie
Les Musiciens du Louvre-Grenoble
BELAIR/BAC028(DVD)



モーツァルトのオペラは、演出家にとってはまさに腕の見せ所、最近ではさまざまな「読み替え」を施した斬新な公演があちこちで見られます。「後宮」に関しても、先日のザルツブルク音楽祭でのようなとんでもない設定のものを見せられてしまうと、観客の方もちょっとやそっとのことでは驚かなくなってしまっていることでしょう。もっとも、その時のボルトンの演奏自体は至極まっとうなものでした。しかし、かつて、ミンコフスキが1997年のザルツブルク音楽祭でこの曲を演奏している映像を見たときには、演出ではなくもっぱら音楽の方に関心が向いていたことを思い出します。その時のミンコフスキは、この曲の「トルコ風」の趣味を最大限に拡大解釈してスコアには書かれていないような打楽器を用いてまさに「トルコ」そのもののグルーヴを醸し出していたのです。
今回のDVDは、2004年のエクサン・プロヴァンス音楽祭における公演を収録したものですが、ここでも彼のトルコ趣味は健在でした。それをもっと分かりやすく示すためなのでしょうか、なんとオーケストラのメンバーもすべてターバンを巻いてトルコの人になりきるという、念の入れ方です。もしかしたら、本当にそのあたり出身の音楽家が加わっているのかもしれません。というのも、メンバーはピットの中だけではなく、ステージ上でも、ある時は太鼓のアンサンブルで登場したり、リコーダーのようなものを吹いていたりしているのですから。
したがって、音楽的にはなかなか新鮮で刺激的な仕上がりとなっています。ただ、演出が、そんな音楽と一見調和しているかに見えて実はかなり退屈なものだったので、少なからぬ失望を与えられてしまいます。つまり、ここでは正規の登場人物に加えて「コメディアン」として5人の役者が加わっているのですが、この人たちの芝居、というか動きが完璧に音楽の流れを断ち切っているのですよ。時には音楽に合わせてダンスのようなものを踊ったりもするのですが、これが全くのイモ、ただ笑わせるだけのキャラだとしたら、ちょっと辛すぎます。
ただ、セリム・パシャ役の人が、ちょっと軽めでユニークな設定なのが、救いでしょうか。普通はどっしりと構えたどちらかというと重々しいイメージがあるのでしょうが、この人の場合は、何しろ最初の登場シーンからしてスピンをしながら出てくるのですからね。もちろん、その踊りはさっきの人たちとは別物のしっかりしたものです。
もう一人、とても可愛い金髪の男の子が出てきて、ちょっとした狂言廻しを演じているのがなかなかのものでした。一見無垢でいて、実は恐ろしさを秘めているというかなりの役回りです。名前から察するに、この子は演出家のお子さんなのでしょう。カーテンコールでそのお父さんにじゃれついていましたから。
ソリストたちは、メインのペア、コンスタンツェとベルモンテはちょっと力みすぎで馴染めません。かえって、黒人同士というキャスティングのサブのペア、ブロントヒェンとペドリユの方が好感が持てました。特にペドリユ役のフェリックスという人の伸びやかな声は魅力的です。オスミンは低音が殆ど出ないという、ちょっと不思議な人。おそらく、モーツァルト自身からのオスミツキを得られることはないでしょう。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2008-01-21 20:23 | オペラ | Comments(0)