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DOPPLER/Concerto for Two Flutes and Orchestra
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Patrick Gallois, 瀬尾和紀(Fl)
Patrick Gallois/
Sinfonia Finlandia Jyväskylä
NAXOS/8.570378



瀬尾和紀さんといえば、このサイトではおなじみの、世界中で活躍なされている若手フルーティストです。いや、「若手」などと言われているうちに、もはや今年で34才(寅年です)を迎えることになり、立派なオトナのオトコになってしまいました。活動の方も幅が広げられているようで、東京でもっと若い音楽家たちを集めたオーケストラを結成、その音楽監督として、指揮にまで手を伸ばすという躍進ぶりです。先月行われたその旗揚げコンサートには、自らフルートを吹きつつオーケストラを指揮する瀬尾さんの姿がありました。
そういえば、瀬尾さんの師匠であるパトリック・ガロワも、ただのフルーティストには飽き足らないアーティスト、フィンランドにある「シンフォニア・ユヴァスキュラ」というオーケストラの音楽監督として、ハイドンの交響曲のCDなども出しているのは、ご存じの通りでしょう。もちろん、瀬尾さんのこの前のWARNERのアルバムでは、イベールやロドリーゴなどのフルート協奏曲で瀬尾さんのバックを努めていましたね。
今回は、瀬尾さんがホフマンのアルバムでデビューを果たしたNAXOSへの久しぶりの登場です。フルート界ではおなじみの作曲家、というか、自らもフルーティストであったドップラーの2本のフルートのための作品を、師匠ガロワとともに演奏しています。タイトルの協奏曲は、もちろん最初からオーケストラが付いている作品ですが、その他の普通はピアノ伴奏で演奏される曲も、すべてフィンランドの作曲家によってオーケストラ用に編曲されている、というのがユニークなところでしょう。そして、そのオーケストラを指揮し、なおかつ1番フルートを担当するという、おいしいところを独り占めにしているのがガロワです。いえいえ、それは冗談。ドップラーの場合、1番も2番も難しさはいっしょ、というより、最初に2番がソロでテーマを吹いて、そのあとを1番が追いかける、といった場面も多く用意されているので、どちらかといえば2番の方が「通好み」のポジションかもしれませんよ。もちろん、これはフランツ・ドップラーが、4才年下の弟カールといっしょに演奏するために作ったものですから(中には、2人による共作もあります)、お互いの見せ場をどっぷらーと用意してあるわけです。
そんな名人が作った曲たちを、とびきりのヴィルトゥオーソであるガロワと瀬尾さんが共演するのですから、楽しくないわけがありません。その技術たるや、単に華麗に吹くというだけではなく、その中にきっちりと意味を持たせようとしているクレバーなものですから、まさに胸のすくような、それでいてなにか納得させられる面さえも持っているのです。
「リゴレット・ファンタジー」では、もとのアリアの持つ情景まで目に浮かんできますし、「アメリカのモチーフによるデュエッティーノ」では、「何でこんなメロディーが」と思わず叫んでしまいそうなユーモアのセンスも見え隠れ、「協奏曲」のアンダンテ楽章では、たっぷりとした叙情性が全開です。
このCDでは、二人のソリストの位置がはっきり分かるような録音になっていますから、いっしょにハモっていない、それぞれがソロをとるときには、どちらが吹いているのかがよく分かります。それを聴いていると、1番のガロワはまるで「まだまだ、弟子には負けていないぞ」といった感じで、いかにも年輪を感じさせるようなちょっと臭い表現をとったりします。すると、2番の瀬尾さんが「師匠、いくらなんでも、それはないでしょう」といった具合に、軽くいなすような場面が見えてきてなにか楽しくなってしまいます。
そんなガロワが一人で吹いた「ハンガリー田園幻想曲」は、ちょっとすごいですよ。まさに濃厚で奔放な世界、「若い」瀬尾さんにはまだまだ無縁の境地です。
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by jurassic_oyaji | 2008-02-08 19:30 | フルート | Comments(0)