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Karajan/The Legendary Decca Recordings
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Herbert von Karajan/
Wiener Philharmoniker
DECCA/478 0155



生涯に500枚近くのアルバムを録音したという、おそらくクラシックの指揮者としては最高の記録を持っているであろう往年の指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンは、今年が生誕100年ということになります。それを記念してCD業界はここぞとばかりにカラヤンの偉業を讃えようとしています。もちろん「偉業」というのは、亡くなってから20年近く経っても未だに衰えない彼のアルバムのセールスということなのですが。確かに、彼のお陰で、レーベルが儲からやんことはありませんでした。
その恩恵を最も受けたであろうDG、というかユニバーサルあたりは、なんとDG時代のすべてのアルバムを240枚のCDのセットにして、それを30万円で売るというのですから、なんともすごいものです。たった1枚で20万円というガラスCDよりはマシでしょうが。
カラヤンといえば殆どDGの専属アーティストのように思われているかもしれませんが、ベルリン・フィルとのコンビで夥しい録音を行う前の数年間、イギリスのDECCAのためにウィーン・フィルと録音を行っていた時代がありました(もちろん、その前にはウォルター・レッグが作ったフィルハーモニア管弦楽団との仕事をEMIでしていたのですが)。正確には1959年から1965年まで、その間に「指輪」でおなじみのプロデューサー、ジョン・カルショーのもとでオペラを含めて多くのアルバムを作ることになるのです。その中で純粋にオーケストラだけのものが全部で15枚ありますが、それをすべて収録した9枚組のボックスが、DECCAからりリースされました。それがネットで割り引かれると7000円ほどで買えるので早速お買いあげです。30万円は無理ですが、このぐらいだったら。
正確を期すと、このボックスにはその15枚のアルバムがそのまま入っているわけではありません。ヨハン・シュトラウスの「こうもり」序曲だけは、1959年のシュトラウス・アルバムからではなく、翌1960年に録音された「こうもり」全曲盤からとられています。さらに、同じものから「バレエ音楽」がおまけで収録されています。
そんなことは添付のブックレットに書いてあるわけではありません。これはなんともお粗末なもので、正確な録音データは掲載されてはおらず、年ごとにまとめて、録音順に曲名が書いてあるというだけのものなのですから、そのあたりは別の資料をあたる必要があります。そこで、さらにマニアックな話になりますが、その資料によると、カラヤンとウィーン・フィルが最初にDECCAに録音したものはベートーヴェンの交響曲第7番ということになっています(当初はRCAの「ソリア・シリーズ」としてリリースされました)。しかし、ジョン・カルショーの自伝Putting the Record Straightによると、まず最初にR・シュトラウスの「ツァラトゥストラ」を録音してから「RCAのために」録音を行ったと書かれているのです。カルショーはよく勘違いを起こしていて、それは訳者の山崎浩太郎氏によって逐一訂正されているのですが、この部分にはそのような手は及んではいません。何よりも、カラヤンとの最初の録音のことを、カルショーが忘れるはずがありませんよね。ブックレットもこの資料と同じ順番になっていますので、DECCAが初出のアルバムに記載したデータが間違っていたことになるのでしょうか。ちなみに、この「ツァラトゥストラ」は、「2001年宇宙の旅」のサントラに用いられていたのは、今では常識です。
カルショーのチームのエンジニア、ゴードン・パリーの作り出すサウンドは「指環」で折り紙付きの華麗さで迫ってきます。ウィーン・フィルの弦楽器が醸し出すえもいわれぬ艶やかさは、後のベルリン・フィルとのDG(あるいはEMI)による録音とは次元の異なる美しさを聞かせてくれています。カラヤン自身も、この頃の音楽の方が力がこもっていると感じられるのは気のせいでしょうか。このシリーズの最後の録音である「白鳥の湖」と「眠りの森の美女」などは、勢いあまってとてもこのコンビとは思えないようなアンサンブルの乱れが見られます。変にのっぺりとした演奏よりも、こちらの方がスリリングな魅力にあふれているのはなぜなのでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2008-02-10 22:11 | オーケストラ | Comments(0)