おやぢの部屋2
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CRAS/Oeuvres pour choeur, voix et orgue
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Sophie Marin-Degor(Sop)
Pierre Farago, Vincent Rigot(Org)
Pierre Calmelet/
Le Madrigal de Paris
TIMPANI/1C1120



先日のロパルツの時に取り上げたTIMPANIというレーベルは、本当にまめにレアな作曲家の新しい録音を世に出してくれています。ロパルツと同じブルターニュの作曲家ジャン・クラのアルバムも、この合唱曲などを集めたものが4枚目になるそうです。もちろんすべての曲が世界初録音、資料としても貴重なものには違いありません。ところで、最初にこのレーベルに出会うことになったクセナキスのオーケストラ作品全集は、第4集が出て以来リリースが途絶えていますがいったいどうなっているのでしょうか。
1879年にブルターニュ半島の西端の町ブレストで生まれ、52才という若さでこの世を去ったクラは、生涯軍人と作曲家という二足の草鞋を履き続けた人でした。言ってみれば「ロシア5人組」のような、アマチュアの作曲家です。しかし、アカデミズムに縛られなかった分、自由な発想で様式にとらわれない曲を産み出したと言うことは出来るのではないでしょうか。
合唱、ソプラノソロ、そしてオルガンのための曲を収録したこのアルバム、最初にオルガンと混声合唱で演奏されている「聖者を讃える賛歌Hymne en l'honneur d'une sainte」では、そんなちょっと様式を特定できないような不思議な構成を持った音楽に、ある種の新鮮味を感じることが出来るはずです。いつまで経っても収まるはずのところに収まらないという意外性が、一つの魅力として確実に伝わってきます。これを歌っている合唱は、男声がちょっと頼りない感じを受けますが、女声はまずまず、何よりも変に力まない素直な歌い方には好感が持てます。
次がソプラノソロによる「天使の糧Panis angelicus」、フランクによる同名の曲が有名ですね。ただ、オルガン伴奏に乗ってソリストのマリン・デゴールが歌い出したときには、そのフランクの曲が持っている世界とはあまりにかけ離れたけばけばしさに一瞬たじろいでしまいました。その違和感は、おそらく作品のせいではなく、ひとえに、この無神経なソリストのみに負っているものなのでしょう。その独りよがりでドラマティックな表現は、間違いなくこの作曲家の宗教曲にはそぐわないものだったのです。この人が歌う曲はあと2曲「Ave verum」と「Ave Maria」が用意されていますが、それらはこのアルバムの価値を貶める以外の何者でもありませんでした。
気を取り直して、無伴奏の混声合唱のためのミサ曲を聴くことにしましょうか。「Credo」が含まれていないコンパクトなミサ曲、ここでは伝統を重んじているかのように、対位法などが頻繁に用いられています。これはこれで、なかなかきっちりとした曲ですね。と思っていると、「Gloria」の後半でまたあのソプラノが登場して来るではありませんか。もう勘弁して欲しいものです。このだらしないソプラノは、そのあとも「Sanctus」と「Benedictus」に加わります。「Benedictus」などは、合唱が作る緩やかなリズムに乗ってとても美しいメロディが流れるという素敵な曲なのですが、このソプラノにかかってはそれもぶちこわしです。
後半には5曲から出来ている「山でDans la montagne」という男声合唱組曲が歌われます。もちろん、この合唱団の男声には多くを期待することは出来ませんからもっぱら曲そのものを味わうことにしましょうか。印象派風の響きも聞こえてきて、なかなか味のある曲です。最後の「夕べ」、「夜」という2曲は、ちゃんとした合唱団が歌えば間違いなくしっとり男声の深い響きを味わえるはずのものですし。
最後には、オルガンのソロで、クラが自分の結婚式で使ったという「結婚行進曲」を聴くことが出来ます。華やかさよりは勇壮な雰囲気の勝った曲ですが、それよりも4分もかかるというこの堂々たる曲が流れている間に、新郎新婦はどんなことをやっていたのか、などということに興味が湧いたりはしませんか?時間をもてあまして、心労で倒れたとか。
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by jurassic_oyaji | 2008-02-12 19:47 | 合唱 | Comments(0)