おやぢの部屋2
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SWEENEY TODD
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Sound Track(Highligts)
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Original Cast
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現在上映中のジョニー・デップ主演の映画「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」はもうご覧になりましたか?「とってもスイート」とはいきませんが、面白いように飛び散る血しぶきと、そんな材料で作ったとてもおいしいパイというグロテスクな設定も、そのバックで流れる美しい音楽とはなんの違和感もなく受け止められるのではないでしょうか。デップや相手役のヘレナ・ボナム・カーターが歌を歌っていたのにも驚かされたはずですが、これはもともとはブロードウェイ・ミュージカルだったものの映画化なのです。そのミュージカルというのは、1979年の3月に初演された後、1980年の6月まで、557回のロングラン公演を続けたという大ヒット作品です。もちろん、現在でも世界中で上演されており、昨年はデップ役を市村正親、ボナム・カーター役を大竹しのぶというなんだかなあというキャストで、日本でも上演されたそうです。しかもそれは日本初演ではなく、実は1981年にすでに市川染五郎(当時)、鳳蘭というキャストで上演されていたのでした。
初演直後に録音されたそのブロードウェイでのオリジナル・キャスト盤が、映画の上映に合わせてリマスターされ、ボーナス・トラックのおまけも付いてリイシューされました。映画で聴いた音楽があまりに素晴らしかったので、サウンドトラック盤と、そして、そのオリジナル・キャスト盤を、即座に入手してしまいました。それほどまでして手元に置いておきたくなるような、これは、別にミュージカルに特別の思い入れがない人でも間違いなく心を打たれるに違いない美しい曲のいっぱい詰まった作品です。
幕開け、そして何度となく登場することになる「The Ballad of Sweeney Todd」は、屈託のない3連符のリズムとは裏腹に、不気味な和声で包まれています。その拍子も、微妙に変拍子が組み込まれているもの、さらにお馴染みグレゴリオ聖歌の「怒りの日Dies irae」のモチーフが印象的に響き渡ります。判事の家に幽閉されているスウィーニーの娘の美しさをたたえる「Johanna」は、一度聴いただけで虜になってしまう素敵な歌です。切ない思いを寄せるアンソニーが歌う曲と同じものを、スウィーニーが次々に客をカミソリで血まみれにする場面で使うという発想が、たまりません。終わりの方でのトビーのナンバー「Not While I'm Around」は、年上の女性であるマダム・ラベットを「僕がそばにいて守ってあげる」という、一途な気持ちが見事に表れた、名曲です。
作詞と作曲を担当しているのは、スティーヴン・ソンドハイム、ブロードウェイのミュージカル界ではまさに「巨匠」の名をほしいままにしている人です。この方は作詞と作曲の両面に秀でているという希有な才能の持ち主で、かつてはあの「ウェスト・サイド・ストーリー」で作詞を担当していました。その時の作曲者はもちろんレナード・バーンスタインなのですが、もしかしたらソンドハイムは作詞だけではなく、作曲に関してもかなりの部分で関与していたのではないか、という思いが、「スウィーニー・トッド」の音楽面での完成度の高さを見るにつけわき上がってきてしまいます。そのつもりになって聴いてみると、この2つの作品の中にいくらでも同じ人が作ったかもしれないと思えるような「クセ」を見つけ出すことだって、出来るかもしれません。例えば、ヘミオレを多用したリズム処理とか、全体を支配する極めて個性的な和声感、そして、複雑なポリフォニーなどです。なによりも、一度聴いただけですんなり入っていけるキャッチーなメロディを作る才能は、バーンスタインの他の作品では殆ど感じることが出来ないだけに、「もしかしたら・・・」と思ってしまいます。
オリジナル・キャスト盤のボーナス・トラックには、1992年に行われたジェリー・ハドレーのような「オペラ歌手」が出演したこの作品のコンサートのライブ録音の一部が収録されています。そういう場にも耐えうるだけのクオリティを持ち得ているというのも、バーンスタインとの「共作」の成果との共通点です。
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by jurassic_oyaji | 2008-02-15 00:47 | オペラ | Comments(3)
Commented at 2008-02-16 14:18 x
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Commented by jurassic_oyaji at 2008-02-16 22:47
jujuさま、はじめまして。
とりあえず、日本語版と比較したら、理解できるのではないでしょうか。
「blow-fish」は、たしか「puffer fish」ではなかったですか?
英語版の話にも書きましたが、これは「ハリセンボン」のことで、訳者が「ハリセン」のことを知らないで訳した、とんでもない誤訳です。
Commented at 2008-02-17 01:49 x
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