おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Marie Arnet(Sop), Anna Stéphany(MS)
Andrew Kennedy(Ten), Darren Jeffery(Bas)
Colin Davis/
London Symphony Chorus & Orchestra
LSO LIVE/LSO0627(hybrid SACD)



200710月の録音、オーケストラは14型という、モーツァルトにしてはかなりの大編成で、そこに90人ほどの合唱が加わります。今回このレーベルのSACDを初めて体験することになりましたが、期待に違わずそんな大人数とは思えないような、しっかりピントの合った音が聞こえてきます。管楽器もそれぞれきっちりと存在を主張してくれていますし、特にトロンボーンの響きなどは、細かいテクスチャーまではっきり聴き取れる素晴らしい録音です。ただ、一応「ライブ録音」とはなっていますが、もちろんゲネプロや本番など数種類のテイクを編集するのは最近のお約束です。ここでも、さすがはDSD、曲の途中で明らかにマイクからの位置が変わっていると気づかされるようなつなぎ目がはっきり分かってしまいます。
そんな優秀な録音ですから、合唱などはかなりアラが目立ってしまうのは仕方がありません。ライブということもあるのでしょうが、なかなかパートとしてまとまることが出来ず、特に女声はあまり感心できる仕上がりではありません。しかし、男声はなかなか溌剌としたものを聞かせてくれています。言葉ひとつひとつにしっかり意味を持たせて、アグレッシブに表現しているのには、思わず引き込まれてしまうものがあります。
そんな積極的な表現が、「Dies irae」になったとたん、さらに激しいものに変わりました。テンポがかなり速め、デイヴィスってこんなに元気な音楽を作れる人でしたっけ。ここは合唱だけではなく、オーケストラもどんどん前へ進んでいく生きの良い感じ、なんといってもティンパニとトランペットの合いの手が見事に決まって、とても気持ちのよいグルーヴを出しています。しかし、なんだかそのリズムがあまりにもかっこよすぎるような気がしないでもありません。そこで、スコアを見て確認したところ、ここのトランペットのリズムが普通のジュスマイヤー版とはちょっと違っています。「タン・タン・タン・タン・タン・タン」という八分音符が6個続くリズムを「ウン・タカ・タン・タン・タン・タン」と、最初の音を休み、2つ目の音を半分にして十六分音符2つにする形に変えているのです。これで緊張感が高まり、単調なリズムがいっぺんに生き生きとしたものに変わってしまいますよね。この楽譜の変更があったお陰で、この楽章は曲全体の中のクライマックスになっていました。
使われている版に関しては、なんの表記もありませんから、これを聴いてもしや、と思って全体をチェックしてみたところ、大方は紛れもないジュスマイヤー版だったのですが、「Rex tremendae」では、最初に弦楽器が2拍刻んだあとに入る管楽器の合いの手がなくなっていましたよ。これは、バイヤー版以降の改訂で全てとられているやり方ですね。うーん、デイヴィスというのは、こんなこともやっている人だったのでいびすか。
しかし、1967年に録音したBBC交響楽団との演奏(PHILIPS)ではこんなことはやっておらず、ごく普通のジュスマイヤー版でしたから、最近の心境の変化、長年この曲を演奏してきて、ここだけはぜひ直したい、というやむにやまれぬ欲求がわき上がってきたのでしょうか。それがいつ頃からのことなのかを知るためには、1991年にバイエルン放送交響楽団と録音したRCA盤を聴く必要があるでしょう。このCDをお持ちの方は、ぜひ検証結果をお教え下さい。
オーケストラはかなりの集中力を持って密度の高いアンサンブルを聴かせてくれていますし、合唱も技術的なレベルの低さを補ってあまりあるほどの独特の味を出している中で、ソリストたちはかなりの不満が残るものでした。特にソプラノのアーネットの不安定さは、隠しようもありません。男声2人はいかにも薄味、これだけの編成の中では、違和感が残ります。
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by jurassic_oyaji | 2008-02-18 20:13 | 合唱 | Comments(2)
Commented at 2008-02-19 13:02 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jurassic_oyaji at 2008-02-20 00:09
しんいちさん、コメントありがとうございました。
ランドン版に限らず、全ての版の楽譜の現物が手元にありますので、ゆっくり読んでみますね。